大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 附属滋賀職業能力開発短期大学校 生産技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 機械製図、CAD実習、メカニズム、工業材料、材料力学、機械加工実習
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

上記の前提となる項目を、実践的に学習することで、一般市販品の「缶潰し機械」の設計・製作のあり方を理解し、改良することで実際の製品開発を学びます。

製作の目的と概要

 社会福祉法人の事業所からの依頼内容は、障害者の方が車イスに乗ったままの状態で、空き缶を「空き缶潰し機」に投入できることでした。また、缶を潰す作業に反応して、音楽を流しメンタル的な援助も盛り込んで欲しい、とのことでした。この開発課題は、現状の既製品の「缶潰し機」を改造or新規製作も視野に入れて、取り組むことになります。
「音楽を流す」機能については、生産技術科の範疇枠を越えて、電子情報技術科の課題としても検討、対応していくことが必要となります。そして、最も重要なことは、一般的な総合課題によく見られる学生の「自己満足型」の課題では無いことが挙げられます。つまり、最終的な使用者は、一般ユーザーであり、このユーザー(お客様)が、満足して戴くことが最大のミッションと捉えて、課題に取り組むことにしました。
★技能・技術習得目標:
・お客様と仕様決定するプロセス(サービスエンジニアの要素)を、実践的に習得します。
・現物製品(既存の「空き缶潰し機」)を分解し、スケッチから図面化する技術を習得します。
・2次元CAD、3次元CADを活用し、チームとして設計する技術を習得します。既存「空き缶潰し機」のメカニズムを理解し、新規設計に活かせる技術を習得します。
・汎用旋盤、汎用フライス盤、ワイヤカット放電加工機を使用し、部品加工技術・技能を習得します。
・完成品を客先にレビューして戴き、商品価値に関する技術を習得します。

成果

・既存の「空き缶潰し機」の内部構造を理解し、新規の「空き缶潰し機」(図1)を製作することが出来ました。
・新設計については、3D-CADによる設計を実施して、内部構造の理解を深めました(図2)。また、シュート形状についても、3D-CADでイメージし、これを製作しました。(図3)
・完成品を、お客様にもレビュー戴き、満足いただける評価を受けました。

★アピールポイント:
・今回の課題は、完成品をお客様に評価して戴き、その成果を確認することが重要となります。車いすに座ったまま、「空き缶を潰す」機能を確認できたことは、企業の取組み手法と同等であり、満足できるものになりました。
・既存のマシンを分解し、そのメカニズムを充分に理解したうえで、新規設計にも応用できたことが、信頼性のある新「空き缶潰し機」の製作につながったものと思います。
空き缶潰し機の設計・製作(H26)の画像1
図1 完成品(外観&内部)
空き缶潰し機の設計・製作(H26)の画像2
図2 完成品概略構造
空き缶潰し機の設計・製作(H26)の画像3
図3 シュート形状(CAD図)