能力開発データベース

■能力開発技法

討議法





概要 特徴と効果 活用の仕方 その他

■概要

グループでのディスカッション(討議、話し合い)を研修の技法とするやり方。ほとんどの研修の中に取り入れられており、また、グループ・ディスカッションを中心にして研修の全体を展開していくやり方も多くみられます。

グループ討議の活用は、研修技法という観点から大別すると、つぎのように分類することができます。

@ 非構造的なやり方
A 課題討議法
B 問題解決討議法
C 発展的討議法
D その他

■特徴と効果

討議法では、グループ・メンバー同士の相互作用を通して、各メンバーの持つ知識・経験・長所・持ち味などが互いに刺激しあって、相互啓発の効果を生むことが期待できます。

進め方には配慮が必要です。声の大きいメンバーにグループが引きずられたり、グループの中で主導権争いや不毛の葛藤が生じたり、それをさけるために、おざなりな表面的な討議で終始したり、など、様々な弊害が生じやすいからです。このような弊害が生じないように予防措置を工夫することが、討議法を研修技法として成功させる要点であるといえます。


■活用の仕方

研修技法の観点から、グループ討議の活用の仕方について解説します。

  1. 非構造的なやり方

    テーマもリーダーも決めない非構造(アンストラクチャー)な方式で討議するやり方。フリー・フローティング・ディスカッションともいいます。エンカウンター・グループ、センシティビティ・トレーニング、ラボラトリー・トレーニングなどがその例としてあげられます。

    受講者の態度や行動の変容を促進する上で効果の大きいことが実証されていますが、このような方式のトレーニングを効果的に展開できるためには、指導担当のファシリテーター(またはトレーナー)として、特別の修練を積んだ優れた人材が必要です。

  2. 課題討議法

    グループ討議の課題をあらかじめ設定しておくやり方。ディスカッションのテーマとしては、次のようにいろいろなものがあげられます。

    @学生生活と企業人生活との相違点は何か。
    A中堅社員として果たすべき役割は何か。
    B部下後輩を指導育成する上で留意すべき点は何か。
    C新人を早く戦力化するには、どうしたらいいか。
    D部下のやる気を起こさせるには。

  3. 問題解決討議法

    問題解決技法と呼ばれるもの(ブレーン・ストーミングKJ法、特性要因図法など)を活用してディスカッションを進めるやり方のことです。

    ブレーン・ストーミングは、全員から意見が出やすいような自由な雰囲気を作るのに有効です。KJ法や特性要因図法は、ブレーン・ストーミングなどで出てきた意見を整理、図解することによって、ディスカッションのための共通の土俵づくりの作用をすることになります。

    特性要因図とは、QCサークルなどでQC7つ道具の一つとしてよく使われているもので、問題とその要因との関係を「魚の骨(フィッシュ・ボーン)」のような図解にして分析していく技法のことをいいます。


    <フィッシュ・ボーン図例>
    図


  4. 発展的討議法

    デベロプメンタル・ディスカッションともいいます。
    ミシガン大学のノーマン・R・F・メイアー教授が提唱したもので、あらまし次のような要領で討議を進めていきます。

    あるテーマをめぐって、ブレーンストーミングの要領で多角的に意見を出し合い、それを分類整理して、KJ法や特性要因図法などによって図解して、その中からさらに討議を発展させたいと思う重要なテーマを選定します。 その後、さらに多角的に意見を出し合います。

    こうしたことを何回も繰り返しながら、全員が納得できる質の高い結論を導き出そうとするやり方です。


■その他

討議法の具体的な応用型として、次のようなものがあります。

  • パネル・ディスカッション

    あるテーマについて、異なる代表的な意見を持つ人や、専門的な知識・経験を持つ人を討議の代表者(これを「パネル」という)として選び、これらの代表者(パネル)が大勢の聴衆を代弁するような形で論議しあう公開討論会の一種。なお、一人ひとりのパネル・メンバーのことは「パネリスト」または「パネラー」という。

  • フォーラム

    フォーラム・ディスカッションの略。フォーラムとは、もともとは古代ローマの都市の中心にあった集会用の広場のこと。フォーラム・ディスカッションとは、古代ローマのフォーラムで行われた集会のやり方になぞらえて行われるもので、あるテーマに対して、大勢の出席者が参加して行う集団的公開討議方式のことをいう。

  • ディベート

    あるテーマに対して、賛成と反対の2組に分かれて論戦をする討議形式。同じ持ち時間で、論理の展開、質問の仕方、反論の仕方などを競い合い、最後に審判が判定を下す。分析力、情報収集力、発表(プレゼンテーション)能力、傾聴能力などを開発することがねらいである。

  • インスツルメンテド・ディスカッション

    テレビの番組を録画したビデオテープや、新聞や雑誌の記事をコピーしたものを教材(インスツルメント)として活用して、受講者にグループ・ディスカッションをさせる研修技法のこと。

    ビデオの映像は視覚に訴える力が強く、また新聞や雑誌の記事は話題性に富んでいますので、研修の目的に合致した適切なインスツルメントが得られれば、研修を活気に満ちた効果的なものとすることができます。

    インスツルメントを広く解釈すれば、事例研究や、理解促進テスト、課題討議などもインスツルメントに含めて考えることができます。

■エンカウンター・グループ (Encounter group)

真実な感情の流れている自己と出会うことや、他者との親密で真実な交わりを経験することを目指す、教育的、治療的な目的を持ったグループである。
エンカウンターとは人間同士の本当の心から触れ合いを意味する言葉であるが、人間の接触は一般に見せかけの触れ合いだけに終わり、真実の触れ合いを行なっていないことが多い。これを打破するために考え出されたのがエンカウンター・グループである。

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■QCサークル

1965年頃より普及・定着している日本特有の品質管理活動。職場ごとの小グループによる自発的活動としても行われる。

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