能力開発データベース

■能力開発技法

ゲーム・トレーニング





概要 特徴と効果 活用の仕方 実施・開発上の留意点

■概要

ゲーム・トレーニングを分類すると、@ラボラトリー・トレーニング系、Aカウンセリング系、B事例研究系、C問題解決決定学習系、D心理療法系、E討議系、F社会教育系になるといわれています(高橋治著・「新しい教育訓練ゲーム」)。

研修プログラムの中に、ゲーム・トレーニングを組み込むことは、会場の雰囲気に変化を持たせたり、ゲーム自体の面白さから、受講者の研修そのものに対する興味の喚起、動機づけに効果があります。また、実体験することにより、具体的な理解が期待できます。

企業内研修の中でも、さまざまなかたちで一連のカリキュラムの中に採り入れられているが、そのなかでも、コミュニケーション・ゲーム、アセンブリ・ゲーム、コンセンサス・ゲームなどの「ラボラトリー・トレーニング系」のゲームの活用が一般的です。


■特徴と効果

ゲーム・トレーニングには次のような長所・特徴があります。

  • 楽しい雰囲気で研修を進めることができる。
  • 興味をそそられてゲームに夢中になっているうちに、知らず知らずのうちに研修の中に没頭することができる。
  • 自主的主体的に研修の課題に取り組むことができる。
  • 体験を通して研修内容を実感的に体得しやすい。
  • グループ活動に必要な協調性や積極性を養成することができる。
  • メンバー同士の相互交流を促進することができる。
しかし、下手をすると、ただの「お遊びゲーム」で終わってしまう危険があるのが難点です。候補となるゲームの特徴を把握したうえで、プログラムのどこで、どのようなタイミングで組み込むか、十分に検討することが必要です。


■活用の仕方

研修に活用されるゲームには様々な種類のものがありますが、一つの例として「協力ゲーム(またはアセンブリ・ゲーム)」と呼ばれるものについて、その活用の仕方を説明することにします。

  1. 事前準備
    @見本のような約15センチ四方の正方形を5つ作る。用紙は厚紙を使う。
    Aそれぞれの正方形をさらに見本のように3つの小さな型紙に細分する。
    Bそれらの型紙をバラバラにして5つの封筒に入れておく(5人1グループの場合。1人に1つずつ封筒を渡す)。
  2. ゲームの目標
    「同じサイズの5つの正方形を作ること」
  3. ルール
    @無言で行うこと。
    A他の人の型紙を取ってはいけない。ほしがるような素振りをしてもいけない。
    B自分の型紙を他の人に与えることはできる。
  4. ゲーム開始
    インストラクターが合図する。
  5. 所要時間
    15分前後(早いグループと遅いグループとがある)。
  6. オプション(時間に余裕がある場合、実施する)
    @直径15センチの円形の細分化された型紙を作り、同じ要領でグループに渡す。
    Aルール変更: 今度は、お互いに十分にコミュニケーションをとりながら5つの円形を作るように伝える。
  7. クリティーク
    ゲームを通して感じたことや気がついたことについて、グループで話し合う。
  8. コメント
    インストラクター(またはトレーナー)がコメントする。 ゲームをやっているときのメンバーの身振りや表情や、それを通して感じられるメンバーの気持ちなどについて感想を述べる。
    また、ゲームの目的・目標にしたがって、人と協力することの難しさや、グループ活動に必要な協調性や積極性などについて強調する。

■実施・開発上の留意点

ゲーム・トレーニングを実施する上での留意点は次の通りですが、その前提として、ゲームの特徴、すなわち、ゲーム自体のねらい、期待効果、必要教材、所用時間などを十分検討しておくことが重要です。

@ゲーム組み込みの目的・目標を明確にする。
A必要十分な時間を設定する。
不十分な場合、目標が達成できず、遊びの部分だけが印象づけられる結果となりやすい。
Bゲームであるから、楽しくできるように工夫することは大切であるが、ただの“ゲーム”で終わってしまわないような配慮も必要である。
C研修の導入部でゲームを組み込むと、受講者およびインストラクターの緊張感や不安を解消させ、研修への参加意識を高める効果がある。
D研修の日程が長期間にわたるときは、途中でゲームを組み込むことにより、気分転換をはかる効果を期待できる。
Eふりかえり(まとめ)の解説
インストラクターによるまとめの解説が重要である。これは、一言であっても、十分時間をかけて準備しておく必要がある。
ゲームの目標に合わせて、チームワークを強調し、協調性や積極性が重要なことに注目させる。