能力開発データベース

■能力開発技法

デモンストレーション





概要 特徴と効果 活用の仕方 実施・開発上の留意点

■概要

デモンストレーション(Demonstration):証明、実演、実物教授。
言葉だけの説明ではなく、実物を見せたり、実演を交えながら使い方や効果などを説明することをいいます。


言葉だけでは伝えきれない劇的な効果を生むことがあります。
営業担当者の提案説明の場、スーパーマーケットの店頭などで、新商品のデモンストレーター(実演販売員)が実物や見本を実際に使ってみせながら販売や宣伝をするやり方、また、教育訓練の場においても、実物やモデルを使いながら説明を行うやり方のことをデモンストレーションといいます。


■特徴と効果

「百聞は一見にしかず」という諺(ことわざ)のとおり、実物や実物に近いモデルを使って説明が行われるので、抽象的な概念や説明を言葉だけで聞く場合に較べて、視覚像やイメージとして脳裏に焼きつけられる度合いははるかに強烈です。

また、現実に近い状況を体験できるので、臨場感のある、生きた、なまなましい説明を展開することになります。それだけ、対象者に与えられる印象を鮮明なものにすることができるのです。

短い時間の間に、具体的で、明快な理解を助けるための方法として効果的です。


■活用の仕方

研修の場でも、その理解と効果を大きくするために、多くのデモンストレーションが活用されます。

  1. ある概念を受講者に深く理解させるために、まず最初に、エクササイズ(実習)を体験させて、そのあとで解説をする場合がありますが、このような場合のエクササイズ(実習)のことをデモンストレーションと呼んでいます。
    たとえば、コミュニケーションにおける一方通行と双方通行との相違点を理解させるため、あるいは、ツーウェイ・コミュニケーションの重要性を理解させるために行うコミュニケーション・ゲーム等もデモンストレーションと呼ぶことができます。

  2. このようなデモンストレーションのやり方は、研修を生き生きとした活気のあるものにしますので、頻繁に活用されています。たとえば、クイズや頭の柔軟体操などをやりながら、創造性開発のポイントを学習させるようなやり方もそのような一例です。

  3. また、デモンストレーションという用語は、あるエクササイズ(実習)を受講者に体験させる前に、たとえば新入社員に電話のかけ方や受け方などの実習をさせる前に、講師が手本として実際にやってみせるような場合がありますが、このようにインストラクターが実際にやってみせることをデモンストレーションという用語でいい表すこともあります。

  4. 営業担当者の商品説明、提案説明(プレゼンテーション)や企画担当者の企画内容説明等には、的確なデモンストレーションを交えることが効果的です。

■実施・開発上の留意点

  1. デモンストレーションを研修(説明)技法として活用する場合には、デモンストレーションそのものを生き生きとした効果的なものにすることも重要ですが、デモンストレーションのあとの解説で、きちんと理論づけをすることも、それに劣らず重要です。

  2. デモンストレーションは、何らかの概念や理論を深く学習させるための手段ですから、学習させたい概念や理論を受講者の頭脳の中に整然と概念形成させることが大切です。

  3. 何ごとかを理解するときの理解の仕方には、深さがあります。
    口頭で(言葉で)説明を聞くだけでは、表面的な理解しか期待できませんが、鮮明なデモンストレーションを体験した後では、実感レベルで深みのある理解をすることができます。
    そのためにも、理論づけや概念形成をおろそかにしないことが重要です。