能力開発データベース

■能力開発技法

観察ゲーム





■目的

管理者が部下の職務遂行を観察することの意義を理解します。

管理者が部下の職務遂行を評価する責任を持っている以上、部下の職務遂行の観察は管理者の重要な職務の一つです。この際、結果だけの観察からでは、限られた情報しか得られないこと、それを補完するには、部下の職務遂行のプロセスを観察することを併用することの必要性を理解します。

■人数/時間

人数: 20〜30人。4〜5人のチーム作業により行います。
時間: 解説も含め、45分位。

■道具

各グループにフリップチャート用紙1枚とペン、
定規(カッターの役割も果たす)狐の見本。

■進め方

グループ毎に目標を決め、その目標に沿って、狐の折り紙(図1参照)を作成します。その作業の結果の観察とプロセスの観察との差について討議します。

机の配置は「島」型で行うのが効果的です。

  1. 4〜5人のグループに分ける。

  2. ゲームの目的と進め方を説明する。

    • グループで折り紙を折ってもらうこと
    • 進め方はグループで設定すること
    • 作り方をデモンストレーションする
    • 時間は、準備に5分間。グループ作業10分間

  3. 各グループに、フリップチャート用紙1枚と定規を配布する。
    (用紙は適宜補充させる)

  4. 準備作業として、グループ討議で以下の点を討議する。(5分間)

    • 目標設定の材料表(表1)の中から、グループで採用する「目標を作るための要素」と「進め方」を選択させる。
      「目標を作るための要素」は2つ以上。
      「進め方」は1つ以上を選択する。
    • さらに、「目標を作る要素」の中から特に重要視するものを選択する。
    • 上記で選択した要素と進め方を用いて、グループの目標を設定して、「グループの目標」欄に記入する。
    • 目標を効率的に達成するための戦略を考える。
    • 他のグループの職務遂行を観察する観察者を1名任命する。

  5. グループ作業で折り紙を折る。(10分間)

  6. 観察者は、それぞれ隣のグループの作業を、最初から最後まで観察する。

  7. 講師は、グループ作業中に、ふりかえりのための記入表(表2)をフリップチャートに、または白板に書いておく。

  8. グループ作業のふりかえり。

    • 積極的参加をねぎらう意味からも、作品を肯定的に鑑賞し、誉める。
    • 各グループに隣のグループ(観察者を派遣したグループ)の作品を観察させ、どのような目標設定をして作業をしたのかを推察させる(約3分)。
    • 着席させ、グループが観察したことをそれぞれ尋ね、フリップチャートに記入する。
    • 観察者の観察内容を尋ね、フリップチャートに記入する。
    • 実際の目標設定を発表させて、フリップチャートに記入する。特に重要視した要素を赤のペンで目立つように○で囲む。
    • 実際の目標設定と観察された目標を比較して、簡単に解説する。

  9. このゲームから学ぶこと(気づき)は、次の通りです。

    • 設定した目標がかなり観察されている。
    • 設定した目標は、結果に反映されている。
    • 重要視した目標は、より明確に反映されている。
    • 主観をもとに設定された目標は、観察者に伝わらないことが多い。
    • 進め方(プロセス)は、結果から推察することは難しい。
    • 結果の観察だけでは、すべてのことは分からない。

  10. 講師は、質問を通して、以上のようなことを気付かせます。

    • 最後の質問「では、みなさんが観察したグループで、このゲームで一番貢献した人は誰か分かりますか? また、彼らの仕事ぶりで、こうすればもっと良かったというようなアドバイスを与えることができますか?

最後の質問に対しては、派遣されて直接観察した人には分かる可能性があります。しかし、結果だけを観察したグループメンバーには分かりません。
ここで大切なことは、管理者は部下の職務遂行を評価する責任を持っている以上、単に結果だけで部下を評価することは適当ではないということです。何らかの形で、部下の職務遂行のプロセスを観察することの重要性を、このゲームでは理解します。

表1:目標設定の材料
目標設定の材料
目標を作るための要素 進め方の例
・違う大きさの		・かわいい
・折り目がきれい	・こわい
・できるだけ小さい	・そっくりな
・50匹の		・30匹の
・違う顔の
・一辺10センチの折り紙を使って
・各自独立して
・分担作業で
・できるだけ早く
・屑を出さないで
・各自同じ数の
・1分間1人1匹ずつ
・1分間1人2匹ずつ
グループの目標設定:



図1:狐の折り紙の見本


表2:観察内容
他のグループメンバーによって推察された目標設定の内容 観察者によって推察された目標設定の内容 実際の目標設定の内容
グループA      
グループB      
グループC      
グループD