能力開発データベース

■能力開発技法

ビジネス・ゲーム





概要 特徴と効果 実施の手順 実施・開発上の留意点

■概要

「架空の会社」を経営する経験を与えることによって、会社経営のあり方、経営管理能力等を学習する研修技法であり、一つの例を上げると次の通りです。

受講者はいくつかのグループにわかれてそれぞれの会社を構成し、販売計画・生産計画・新製品開発・設備投資計画などについて意思決定をして審判団に提出します。審判団はある基準に従ってそれぞれの会社(グループの決定内容)を審査し、その結果をグループごとに比較して優劣を競争させます。

経営幹部の戦略的意思決定能力の開発や管理者・監督者の計数的管理能力の開発、あるいは営業マンのコンサルティング能力の強化等に活用されます。


■特徴と効果

管理者や監督者など、将来の経営幹部となりうる候補者に、模擬的に会社経営を体験させることによって、経営幹部となるために必要なさまざまな能力や資質について体得させて、将来の自己啓発への指針を把握させることができます。 ビジネス・ゲームには次のような効果が期待できます。

  • 戦略的な意思決定の重要性を認識する。
  • 意思決定の結果が各方面に及ぼす影響を知る。
  • 意思決定に至るまでの手順や方法を習得する。
  • 社内の各部門の意見調整の難しさを体験する。
  • 企業間の競争の厳しさを実感的に体得する。

■実施の手順

ビジネス・ゲームには様々な種類があり、進め方もさまざまであるが、標準的な進め方の一例を示すならば、次の通りです。

@受講者は6人くらいずつのグループに分かれる。
Aそれぞれのグループは一つの会社とみなされる。
Bそれぞれのメンバーで役員会を構成する(場合によっては社内各部門の責任を分担する)。
C各社は各期毎に意思決定をし、経営計画書の該当欄に記入して、審判団に提出する。

意思決定の項目には次のようなものがある。

  • 営業マンの採用と配置
  • 販促活動
  • 宣伝広告
  • 教育投資
  • 研究開発投資
  • 次期製造計画数
  • 売上目標
  • 借入金申し込み等
D審判団は客観的な基準に従って各社の決定内容を審査し評価する。
E審判の結果は各社にフィードバックされ、次の意思決定に役立てられる。
  このような決定と審判を数期にわたって繰り返し行う。
F最終的に各社の優劣が評価されてゲームを終了する。
G受講者は、グループ作業の中で、次のような帳票を作成する。

  • 経営計画書
  • 現金収支明細表
  • 一般管理費・販売費
  • 製品在庫変動表
[係数諸表の作成]
「現金収支明細表」「一般管理費・販売費」「製品在庫変動表」等の作成のステップは次の通りです。

@各グループ内のメンバー全員が、各自、手計算によって作成する(これは受講者が計数的管理を実体験できるようにするためである)。
A各メンバーが作成した諸表を持ちよって、グループ用のものを作成し、審判団に提出する。
B審判団は内容をチェックして返却する。
C場合によっては、この後、「貸借対照表」や「損益計算書」を作成する。
Dさらに、「資本金利益率」、「売上高総利益率」、「売上高伸び率」、「市場占有率」、「付加価値生産性」等の観点から、経営分析を実施することもある。


■実施・開発上の留意点

ビジネス・ゲームにおける市場(マーケット)の状況や判定の基準などは、現実のものではなく、あくまで模擬的にシミュレートされたものですから、現実の企業経営とは相違している部分があります。

しかし、そのことさえ十分に認識しておけば、経営管理能力や意思決定の要点、計数感覚を習得させるためには、ビジネス・ゲームはきわめて有効な研修技法です。

グループごとに優劣を競争させるというやり方は、ゲームのゲームたるゆえんであって、受講者は知らず知らずのうちにゲームに夢中になり、ゲーム(すなわち研修)に熱中しているうちに、会社経営のコツのようなものを実感的に体得していくことができます。