能力開発データベース

■能力開発技法

NBT





概要 特徴と効果 活用の仕方 実施・開発上の留意点

■概要

NBTとはNetwork Based Trainingの略称です。
NBTはネットワーク(LAN:ローカルエリアネットワーク/WAN:ワイドエリアネットワーク)を活用したコンピュータによる学習法です。

サーバーに研修プログラムをセットアップし、受講者主導で学習を進めます。ネットワークを利用したコンピュータによる研修という点で、講師による研修と大きく異なります。受講者は講師を前に学習するのではなく、パソコンに向かって自らのスケジュールでカリキュラムを進めていくことになります。

研修担当者にとって、研修の運営、例えば、教室、講師、期間、時間、といった今まであった制約は軽減され、研修経費および研修工数の大幅な削減にもつながります。さらに、講師の育成費用なども含め、研修のトータル・コスト削減にもつながります。また、ネットワークを利用して、学習管理システムで受講者の進捗管理を一括して行うことができます。



一方、受講者は、サーバーに登録されている研修プログラムの中から必要なコースの必要な個所のみを各自のコンピュータで学習できるため、時間を有効活用することができます。つまり、受講者は長期間拘束されることなく研修プログラムを受講することができ、また、分からない箇所だけを自席のパソコンから確認するという使い方もできます。仕事への負荷が軽減され、仕事と研修を並行して進めることができます。

これは各企業のネットワーク設備の整備とマルチメディア技術の発達に伴い実現された新しい学習法といえます。

この技法は、営業担当者向けの営業マニュアル、技術部門向けの技術マニュアル、コンピュータリテラシー向上の研修などさまざまな用途に応用することができます。


■特徴と効果

ここでは、研修担当者と受講者の2者の立場から特徴と効果を説明します。

研修担当者に関して−

< 特徴 >
研修プログラムはサーバーにあらかじめ登録されるため、そのコースの運営に関する負荷は軽減されます。例えば、研修スケジュール、教室の手配、人数の調節など、また、講師の育成といった費用も含め、研修のトータル・コスト削減にもつながります。
研修プログラムをサーバーに登録するため、講師による研修と異なり、受講者の数によりランニングコストは減少していきます。
受講者がネットワークを通して学習を進めていくので、学習管理システムを利用して受講者の進捗管理を一括して行うことができます。

< 効果 >
受講者個人に対応した研修プログラムを提供することができます。
すべての受講者に対して均一した品質の研修プログラムを提供することができます。講師のレベルに左右されることなく研修を実施することができます。
研修コストや研修担当者の負荷を軽減することができます。研修担当者は研修プログラムの充実、受講者個人への対応などに時間を有効活用することができます。

受講者に関して−

< 特徴 >
講師による教授という研修形態と大きく異なり、ネットワークを利用してサーバーに登録してある研修プログラムをコンピュータで個人単位の学習を進めていきます。
講師から研修を受けるのではなく、サーバーに登録されている必要な研修プログラムを学習します。
受講者は登録されている研修プログラムを各個人のスケジュールに合わせて自主的に進めていきます。

< 効果 >
他の受講者の進捗度を考慮することなく、自分のペースで学習を進めていくことができます。
受講するコースの開催日を待つことなく、自分のスケジュールに合わせて学習を進めることができます。
自分にとって必要なコース、必要な個所のみを学習でき、時間を効果的に利用することができます。
仕事と並行して行うことができます。そのため、仕事への負荷が軽減できます。


■活用の仕方

NBTによる学習は、次のステップで行われます。
これは社内のネットワーク環境が整い、NBTが導入されているという前提で説明します。
研修担当者があらかじめ研修プログラムをサーバーにセットアップし、学習方法、手段の情報を受講者に提供します。

受講者は研修担当者からの指示あるいは個人の必要性から研修プログラムを決定します。
受講生はネットワーク上の自分のパソコンで研修メニューの中から必要なコース、必要な個所を選択し学習します。

研修担当者は学習管理システムを利用して、受講者の学習記録を取り、進捗管理をします。理解度テストなどを行い学習者の習得度合をチェックします。
研修担当者は受講者の進捗度、習得度合を把握し、それによって、指示やアドバイスを与えることができます。


■実施・開発上の留意点

NBTによる学習を効果的に進めていくためには、3つの点に留意しなければなりません。研修プログラムの選定、環境の整備、学習進捗の管理の3つです。

  1. 研修プログラムの選定について

    研修プログラムの選定は大変重要です。
    プログラムの善し悪しは、受講者の興味、集中力の維持、さらに学習の効果を大きく左右します。実際、個人単位で学習が進められますので、学習者のやる気を起こさせ、維持できるようなメニュー、内容でなくてはなりません。それにはプログラム内容の充実に特に気を配る必要があります。

  2. 環境の整備について

    受講者が各個人のコンピュータで学習するため、受講者の環境に注意をはらうことが大切です。
    受講者の回りの社員への配慮、受講者自身への配慮です。つまり、自席で学習を進めるので回りの者に迷惑がかからないように配慮します。また、自席で学習している者への圧力・圧迫が起こらないように全社レベルでの配慮も必要です。さらに、自分自身に必要なものは自ら学び取るという意欲や意識が重要です。

  3. 学習進捗、理解度の管理について

    個人単位で学習が進められるため、各個人の自己管理、やる気によって、学習の進捗、レベルにバラツキが生じます。
    そこで、研修担当者は受講者の進捗状態、レベルを把握しておく必要があります。進捗度の把握に合わせて、理解度をチェックする体制を整備します。学習管理システムを利用しながら、その進捗状態、レベルにより受講者へのアドバイスや指示といった個別の対応が必要です。