能力開発データベース

■能力開発技法

キーワード連結





概要 特徴と効果 活用の仕方 実施・開発上の留意点

■概要

キーワード・コネクション練習ともいい、研修終了後の知識の定着を確認し、ふりかえりを行う方法として開発されたものです。

知識伝達型の研修において、知識定着の確認は筆記テストをする、質問をする、レポートを提出させるなどが代表的なものですが、このキーワード連結法はやり方において、いずれとも異なる受講者参加型の方法で実施します。

まず、1〜3日間の研修で学習したキーワードを自由に、思いつくまま受講者に言わせます。つぎに、そのキーワードの中から2つを選んで組み合わせ、研修内容に合わせた解説をさせるというやり方です。キーワードがなくなるまで続けます。この方法は、知識定着の確認とともに、研修全体の「ふりかえり」にもなります。



■特徴と効果

キーワード連結法の特徴と効果は、次の通りです。

  1. 受講者参加型であること
  2. 知識の定着が、即座に、受講者自身にわかること
  3. 自分の言葉にすることによって、理解の度合いが深まること
  4. 講師にとっては、知識定着の確認ができ、必要に応じて補足説明を加えることができること
  5. 研修の重点項目(キーワード)を再確認できること
  6. 知識の定着の確認と研修内容の全体像の見直しが、同時にできること
  7. 比較的簡単に、ゲーム感覚で実施できること(しかも効果的)
  8. 実施時間の調整がしやすいこと


■活用の仕方

キーワード連結法のステップは、次の通りです。

キーワード連結法は、セミナーのまとめとして、すべての項目の講義を終了した後に実施します。必要な機材は、大きなチャート用紙または白板と板書用の筆記用具です。時間は、20〜30分位が適当です。



  1. 講師が進行役をする。
    「これからセミナーのまとめを行います。この○日間で学習したなかで、みなさんの頭に残っているキーワードを言ってください。 何でも結構です。わたしがチャート紙に書いていきます。」

  2. 受講者に一つずつ言わせる。
    順番はとくに問題ではないが、できる限り全員に言わせるようにする。

  3. 講師は言われたままを書いていく。
    書き方は整理した書き方ではなく、チャート上にバラバラに書く。

  4. チャート紙いっぱいになるまで続ける。人数によって2枚に増やしてもよい。

  5. 「たくさん書けましたね。みなさんこれだけのことを、この○日間で学習したわけですね。よく確認してください。(間)。
    さて、これからが問題です。みなさんにあげてもらったこのキーワードの中から2つを使って、学習した内容を解説してください。時間は、ひとり2分以内です。前に出る必要はありません。ただし、みなさんに聞こえるように大きな声でお願いします。」

  6. 人数次第だが、解説は可能な限り全員に当たるようにする。

  7. 受講者が解説している間の講師の役割
    • 「はい、ありがとうございました。では、次の方お願いします。」
      (二番目からの順番は受講者に指名させてもよい)
    • 内容について評価しない
    • 受講者が使ったキーワードの上に線を引いて消す
    • 理解が曖昧なキーワードをメモしておく(最後に補足説明するため)

  8. 設定した時間まで続ける。または、記述したキーワードを解説し終わるまで続ける。

  9. 理解が曖昧だったキーワード、および残っているキーワードの中で重要なキーワードがあれば解説する。

  10. 理解を確認して締めくくる。


■実施・開発上の留意点

キーワード連結法を効果的に進めていくためには、講師の進行が大きななポイントになります。

  1. あくまで受講者主体で進行すること。
  2. キーワードを出させる第1段階では、後で解説させる第2段階のことは、いっさい説明しないこと。
  3. 第1段階、第2段階とも、次から次へのバトンタッチがスムーズに進むように配慮すること。
  4. 解説に対しては、お礼を言ってから次に進むこと。
  5. 解説内容に対して、評価はしないこと。
  6. 曖昧な理解のキーワードは、きちんと補足説明すること。説明を受講者に振り向けてもよい。
  7. 重要なキーワードが取り上げられなかった場合は、補足説明するか、または受講者に質問して確認すること。
受講者の中には、自分で解説することが分かると同時に、テキストをめくりながら、理解を確認するものも出てきますが、あえて止めさせる必要はありません。この短い時間の中での集中した学習、また自分の言葉で口にすることによる効果は大きく、定着度合いを強固にすることが期待できます。