能力開発データベース

■能力開発技法

AV視聴覚訓練





概要 特徴と効果 実施・開発上の留意点

■概要

AVは、Audio-Visualの略で、視聴覚のこと。AV視聴覚訓練とは、テレビや、ラジオ、映画、テープ、チャート、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)、実物投影機などの視聴覚的な機器・手段を利用して教育訓練をすることです。

たとえば、新製品の写真をOHPで映したり、工場の生産ラインのビデオを見たり、月面探査の模様を撮影した映画やビデオを見たりするなど、事物を感性的に認識することによって、実物や実地を擬似的に知覚することができるので、実地訓練や実物訓練に近い教育訓練をすることができます。

AV視聴覚訓練のための機器・教材として古くから利用されているもので簡単なものとしては、模型、写真、絵画(イラスト)、図表、掛図などがあります。同じ古くからのものでやや複雑なものとしては、スライド、映画、レコードなどがあります。

音声を主にしたものとしては、ラジオ、録音テープ、オーディオ・カセット、コンパクト・ディスク(CD)、ミニ・ディスク(MD)などがあります。

映像のものとしては、テレビやビデオ、ビデオ・ディスクに加え、最新のものとしては、ビデオCD、CD-ROM、DVDなどがあります。テレビやビデオの普及、さらには最近のCD-ROMの登場は、AV視聴覚訓練の適用範囲を急速に拡大しています。

パソコンの普及や、コンピューター・グラフィックスやアニメーションの技術の発達などによって、AV視聴覚訓練の重要性は、今後、ますます増大するものと思われます。


■特徴と効果

AV視聴覚訓練には、次のような特徴と効果があります。

  • 実物に近いものを見たり聞いたりすることができる。
  • 実地に近いことを擬似的に体験することができる。
  • 臨場感があり、強い印象を与えることができる。
  • 受講者に興味や関心を起こさせることができる。
  • 人間の五感にうったえた訓練ができる。

写真・人間の五感と学習効果


<人間の五感と学習効果>

    視覚から75%
    聴覚から13%
    触覚から12%
    の学習を行う。

しかし、ものによっては次のような難点があります。

  • 制作するのに高度な知識や技能を必要とする。
  • 莫大な労力と費用を必要とするものがある。

■実施・開発上の留意点

AV視聴覚教材を有効に活用するにあたっては、次のような配慮が必要です。

  • 視聴覚教材(手法)は、さまざまなものを利用できるようになっているが、一長一短もあり、能力開発の目的に合わせて適切なものを選択する必要がある。

  • 視聴覚教材の使用にあたっては、器材のチェック、部屋の広さ、電源の有無、スイッチの位置など細かい確認が必要である。

  • 的確なAV器材を適用することにより、臨場感あふれた映像や音声によって、受講者に強い印象を刻印しながら、教育訓練を進めていくことが可能である。

  • 大変便利なものとして、OHP(オーバーヘッド・プロジェクター)が広く普及している。OHPは講師が受講者と対面したままの状態で学習内容を受講者の頭越しに前方のスクリーンに映写するというスライド形式を採用している。明るい部屋でも使える、受講者と向かい合いながら使える、映写用原紙(TP=トランスペアレンシー)の作成が比較的簡単である、などの理由により、大変広く普及している。

  • コンピューター・グラフィックス(CG、コンピューターによる画像処理)やシミュレーション(模擬実験)などの発達によって、AV視聴覚訓練のための教材の開発はきわめて高度なものが期待できるようになってきている。

  • 最近のパソコンの学習では、CD−ROMの動画および音声とシミュレーション・テストとの組み合わせにより、テキストだけでは得られない理解度の高さと学習時間の短縮を実現している。

  • 販売の地域動向、消費者動向など、シミュレーションとCGによって、効果的な立体プレゼンテーションの映像資料が、比較的簡単に実現できるようになっている。

  • 自動車エンジンのメカニズム、心臓や肝臓の構造や機能、核融合反応の様子など、実物では見ることができないメカニズムをシミュレーションとCGによって映像化し、動きと音とを組み合わせながら理解しやすく提示できる。