みなさまは、下記の教科書を目にしたことがありますか?みなさまの中には、すでに活用していただいている方もおられるのではないでしょうか。


  • 教科書


 上記の教科書は、普通職業訓練(普通課程)用教科書(以下、「教科書」という。)といい、厚生労働省が認定している教材なのです。厚生労働省が認定している教材は多数ありますが、その中でも、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が著作権を持つ教科書は、全部で97冊※1あります。
 この97冊の教科書を対象に、私ども基盤整備センター開発部教材開発室では、毎年数冊ずつ改定業務を行っており、今年度は「溶接実技教科書」、「配管実技教科書」、「木工工作法」、「安全衛生」を改定します。これらは実に10年~25年ぶりの改定となります。
 一言に改定業務と言いますが、改定にかかる期間は、約2年の歳月を費やします。大まかな説明となりますが、改定1年目では、教科書ごとに全2回の改定・執筆内容検討委員会(以下、「委員会」という。)を経て、原稿を作成します。2年目には、厚生労働省に再認定していただき、出版委託業者(以下、「出版社」という。)と教科書の価格を協議した後、製版されて完成となります。
 さて、概要はここまでにして、今回は、第1回委員会の様子を9月10日に開催した委員会を例に紹介させていただきたいと思います。
 委員会は、出版社の会議室等を使用し、時間は午後からの半日程度で行います。出席者は、監修委員2名と執筆委員2名です。その他、オブザーバーとして厚生労働省から2名、出版社から3名、事務局として基盤整備センターから3名といった構成で開催します。監修委員は、職業能力開発総合大学校の教員に委嘱し、執筆委員は、職業能力開発校(都道府県)あるいは認定職業訓練校の職業訓練指導員(テクノインストラクター)に委嘱します。
 委員会では、「改定意見書」という様式(委員ごと、改定の方針や内容の詳細や意見等を事前にまとめていただいたもの。)に基づき、項目ごとに審議していきます。ちなみに、今回の改定意見書の項目数は、300項目ありました。
 これら項目の内訳は、文章表現の修正や「てにをは」の修正といったものが約半数を占めており、その他は、各種法令改正やJIS規格等の改正に伴う修正、利用者目線に立った内容編成などになります。


  • 委員会の様子
  • 委員会の様子


 半日という短い時間のなかで、熱心に審議していただき、各委員の教科書に込める思いがビシビシ伝わりました。
 こうして、審議された項目がそのまま執筆する内容となり、ここから執筆委員による原稿作成が始まります。
 今後の流れとしては、執筆委員による原稿作成が完了した後、その原稿内容を確認するための第2回委員会を開催していきます。
 今年度の改定業務は、各教科書とも始まったばかりです。平成31年度末の改定出版まで、執筆委員や監修委員をはじめとする多くの方々の思いが込められていきます。完成が待ち遠しいです。
 最後に、ご尽力いただいている各教科書における執筆委員及び監修委員、並びに関係者の皆様に、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

 ※1 平成30年9月21日時点での冊数(在庫限りで廃刊するものも含む)。