本調査研究は、不本意ながら非正規雇用を繰り返し、企業内の人材育成機会に恵まれない若年労働者が、働きながらでも、安定雇用に向けて訓練が受講できるよう、土日・夜間などの在職者訓練コースを開発し、全国展開を図ることを目的に実施しています。
 今回は、若年非正規雇用労働者対象の在職者訓練に関する調査研究の取り組み(中間報告)で紹介した各種調査結果から「訓練ニーズの把握・分析」を行い、それに基づき開発した訓練カリキュラムについて紹介します。
   ※開発した訓練コースは先行して埼玉、千葉、関東、中部、関西の各ポリテクセンターにて実施する予定です

「正社員を目指す」もしくは、非正規で働いている方々が「自らの能力を高める(スキルアップを目指す)には、次の要素を向上することが必要と考えました。

  ①仕事に対する考え方・意識(企業・生産活動の理解、問題発見解決能力など)
  ②職業を問わず共通するスキル(仕事をする上で不可欠なQCDSMなど)
  ③仕事に関連する汎用的スキル(専門的な知識・技能)


  • ①仕事に対する考え方・意識と②職業を問わず共通するスキル
  • ①仕事に対する考え方・意識と②職業を問わず共通するスキル

  • ③仕事に関連する汎用的スキル
  • ③仕事に関連する汎用的スキル

①②では、ものづくり企業の仕組み(材料の購入から出荷まで、各部署の役割など)やQCDSM、QCストーリを用いたグループワークによる業務改善手法などについて学び、受講される方の仕事の質の向上はもとより、業務改善の提案ができることを目指し「製造業の理解」(12時間)を開発しました。表1は「製造業の理解コース」のカリキュラムです。

  • 表1 製造業の理解コースカリキュラム

  • 表1 製造業の理解コースカリキュラム

③では、自身の持っているスキルを拡大するイメージで仕事に関連する基本的なスキルを習得する。今回は、「CAD・機械製図(51時間)」とNCプログラミング(54時間)」を開発し、これらに製造業の理解を組み合わせました。
開発したコースは以下の通りです。どちらのコースも短いコースを体系的に組み合わせています。

 (1)機械製図・CADコース  計63H
   イ 製造業の理解  12H
   ロ 2次元CAD(作図編)  18H 
   ハ 機械製図(2次元CAD編)  18H
   ニ 機械製図(寸法・公差・機械要素編)  15H

 (2)NCプログラミングコース  計66H
   イ 製造業の理解  12H
   ロ NC旋盤(プログラム)  24H
   ハ NC旋盤(段取り・加工)  12H
   ニ NC旋盤(課題演習)  18H

これらのコースは、ものづくり分野のテクニカルな内容だけでなく、働く上で必要となる業務改善の考え方、製造業の仕組みなども理解できることが大きな特徴です。
開発したコースは、先行して機構5施設(埼玉、千葉、関東、中部、関西の各ポリテクセンター)にて実施します。
パート・アルバイト等で働きながら就職活動をされているみなさまに訓練を受講いただき、正社員登用など安定した雇用に向け活用いただけることを願います。

◎事業主のみなさまや人事教育をご担当されているみなさまへ
自社で働く非正規雇用労働者の方々へ本訓練を紹介いただき、スキルアップや正社員登用の検討材料として是非ご活用ください。