• 職業能力開発大学校 研修研究センター  西山 嘉彦

1.はじめに

ここ数年,JISの製図関連の記号の改定をみると筆者が学生時代よりなじんでいた記号とは,違う記号が数多くみられる。現在,能開大の研究棟において展示(貸与)されている自作教材等をみてみても,旧記号で記載されているものが若干見受けられる。そこで,ここでは,製図に用いられる図記号のなかで一般によく用いられる記号の変化をあげてみたいと思う。

2.JIS C 0301 (1990) 電気用図記号について

この規格は1982年の規格が見直されたものであるが,一般に用いられる図記号として代表的なものの新旧の対応をしてみた。

なお,図記号中の(1),(2)と記載したものはJISでは(1)を推奨しており,(a),(b)と記載したものはいずれを使用してもよいとなっている。

共通図記号より(図1~図4)。

図1~図4
図1~図4

図3については,新旧を比べると電極の間隔が,極の長さの現JISでは1/2~1/3,旧JISでは1/5~1/3となっている。

図3
図3

3.JIS B 0031 (1994) 面の肌の図示方法について

この規格は昨年見直された規格であるが,今まで機械図面によく見られた仕上げ記号(三角記号)が附属書にもなくなったこと(廃止)があげられるとともにJIS B 0601の改正に伴い,Ra(算術平均粗さに改め),Ry(従来のRmax)およびRzによる指示に加えてSm,Sおよびtpによる指示方法が追加された。また,性格の異なる複数のパラメータを指示する場合の指示方法が新規に規定されている。

ここでは,Raを指示した例およびRyの指示した例を表す(図5~図6)。

図5~図6
図5~図6

4.JIS B 1051 (1991) 鋼製ボルト・小ねじの機械的性質について

この規格は製図には直接的に関係はないが,ここ数年の機械製図(技能検定)の実技試験をみてみると,機械的性質のうち,強度区分の表し方を使用した設計問題が出題されているので,ここでは強度区分の表し方について述べることとする。

おねじ部品の機械的性質による強度区分は,表1の座標に示す小数点をつけた2桁または3桁の数字による記号で表されるが,この座標の横軸は呼び引張強さ(MPa),縦軸は破断伸び(%)であって,強度区分記号の小数点前の数字は,MPaの単位による呼び引張強さの1/100を示し,小数点後の数字は,MPaの単位による呼び下降伏点または呼び耐力と呼び引張強さとの比(呼び下降伏点または呼び耐力/呼び引張強さ)の10倍を示す。したがって,強度区分記号の“小数点前の数字”と“小数点後の数字”との積を10倍した値は,MPaの単位による呼び下降伏点または呼び耐力となる。

表1
表1

5.おわりに

製図に関係するJISの図記号の変化について,一般によく使用される記号をあげてみてみたが,読者の皆さんは先刻ご承知のことがほとんどであったかもしれない。筆者の文章を読んで御笑止いただければ幸甚である。

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