2023年4号「技能と技術」誌 314号
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図5 飛行練習移動例図6 点検訓練具体的な飛行練習の内容は,無人航空機操縦士試験の実技試験を参考に準備しています。目標地点への前後左右斜めの平行移動や,スムーズな離着陸,一定高度の維持等多岐に亘ります。(図5)簡易的な点検訓練も行っております。(図6)目視では確認を行うことが難しい場所へ目標物を設置し,ドローンで探しだします。見つけたら撮影を行うとともに,位置や個数を図面に書きだしていきます。練習場所を屋内とする関係上,壁への衝突には十分に気を付ける必要があります。屋内ではGPSや各種センサーの性能が発揮しづらいため,屋外で飛行するより難しい場合があります。余裕を持った飛行目標の設定が重要となります。当訓練の最終的な目標は電気設備点検技能の習得になります。基礎的な飛行技術を身に着け,さまざまな状況,対象物で安定して飛行ができるよう訓練-12-を行います。ドローンを活用した実際の点検は塔の上や屋上などが想定されますが,当センターでは点検対象となる設備を所有しておりません。外部施設に点検のための設備を借りることも検討できますが,航空法の観点や,繰り返し訓練を行うことの困難さから現実的ではありません。そのため当センターではドローン操縦シミュレーターを導入しました。シミュレーターではさまざまな状況下でドローンを飛行させることができます。塔の上や,住宅地周辺といった訓練では飛行させることが困難な場所も可能です。建築物に衝突したり,無理な飛行をしたりすると墜落するため,緊張感を持ちながら繰り返し訓練が可能となります。当センターのシミュレーター上ではGPSのズレや,不意の風によるドローンの揺れなどは再現されていないため,やはり実際の飛行とは感覚の違いはあります。実際の飛行と,シミュレーターでの飛行,両方の訓練をバランスよく行うことで技能を高めることができます。本稿ではドローンの基本的な運用方法や,屋内での操作をテーマにした教材の紹介を行いました。第四次産業革命と呼ばれている分野は,今後ますますの技術革新が進み,活用する機会が増えると思われます。特にドローンは2022年12月からは国家資格も整備されレベル4飛行と呼ばれるが解禁となりました。新たな技術も開発され,ドローン本体の性能も向上しています。技術革新に取り残されないよう,知見を広げることが大切となってくるでしょう。併せて訓練生,事業主のニーズを意識し,より充実した訓練内容の提供も重要となってきます。これらを常に意識し,新たな訓練教材の開発に努めていきたいと思っております。5.シミュレーターの活用6.おわりに

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