2023年2号「技能と技術」誌312号
8/30

図1 高圧受変電設備の基本構成図千葉職業能力開発短期大学校 五十嵐智彦・栗秋 亮太近年,建設需要の増加等に伴い,電気技術者の需要はより高まっている。しかし,電気設備工事業における人材不足は加速しており今後さらに不足する見込みであるといわれている。本校電気エネルギー制御科では学生の就職先として電気設備工事および施工管理業の比率が増加してきていることから,電気設備系科目の強化と,在学中の第二種および第一種電気工事士などの資格取得についての支援を行ってきた。しかし,これまで電気設備系科目の実習対象である高圧受変電設備の実習装置を有していない状況であった。そこで,より実践的な保守点検および設備管理の技術の習得を目的とした高圧受変電設備を模した実習装置を,専門課程総合制作実習の一環として一から自作することとした。本装置は,実際の高圧受変電設備を念頭に,⃝ 実際の高圧受変電設備と同様の電気的操作が体験できること⃝ 実際の高圧受変電設備よりも高い安全性を確保していると⃝ 実際の高圧受変電設備では容易には再現が困難である,過電流,漏電等の不良状態を含むさまざまな現象を疑似的に再現できることという,3つの要件をコンセプトとして実習装置の制作を行った。その結果,同様の受変電設備実習用教材(市販品)の3分の1程度の費用で,本格的な実習装置を完成させることができた。-6-本稿では,取り組みの結果,完成した受変電設備が上記コンセプトを満たし,実習装置として動作させることができたので報告する。高圧受変電設備とは,ビルや工場をはじめとする大口の需要家(自家用電気工作物)における,高圧受電に必要な電気設備である。一般に,自家用電気工作物は6600Vで受電することが多く,扱いが容易1.はじめに2.高圧受変電設備の概要高圧受変電設備実習装置の制作

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る