2023年2号「技能と技術」誌312号
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図7 APFCにより操作されるコンデンサ図6 力率可変負荷装置図2には,柱上気中負荷開閉器(PAS)の実習装置を示す。この開閉器は引込点の電柱の上部に設置されるものである。これはアルミ角棒でフレームを組み,キャスターを設けることで他の設備と切り離して自由に移動できるようにした。このようにすることでフレキシブルに実験を行うことができるようになった。図3には受変電設備の電路の主たる開閉装置である真空遮断器(VCB),電気設備を保安上監視する継電器類,および設備の運転状態を表示する計器類を示す。また,図4には,各変圧器に至る幹線の電路を開閉する開閉器類,図5には電圧を変成する変圧器類(写真右,三相変圧器,6600/220 20 kVAおよび写真中央,単相変圧器,6600/100-200 10kVA),および,力率改善するためのコンデンサおよび直列リアクトル(写真左,コンデンサ容量10kvar)を示す。基本的にフレームはLアングルで組み立てを行い,図1に示す基本回路に従って配線を行った。高圧部はKIP電線(8mm2)を,制御配線はIV電線(1.25mm2)をそれぞれ使用した。実際に使用されている高圧受変電設備を忠実に模して配線を行っている。負荷装置としては,力率可変負荷装置(松栄電子工業 3U-202,図6)を用い,負荷の電流値と力率を任意に変更できるようにした。さらに,この負荷装置により遅れ力率を発生させた場合には,自動力率調整装置により自動的に力率1.0になるよう,順次進相コンデンサ(パナソニック ZA-20T,図7)が投入されるようにした。これは,本来であれば真空電磁接触器(VMC,コンビネーションユニット)と高圧コンデンサを用いるべきであるが,場所と費用を勘案して,200Vモータ用コンデンサと100V用電磁接触器で代用することとした。-8-一般に,高圧受変電設備は6600Vが印加されることから,その取り扱いには高い専門性が要求される。しかし,高圧受変電設備の操作法の習得に供される教材にあって,その電気的な現象が正確に再現できてしまえば,必ずしも6600Vという高圧を用いる必要はない。そのため,本実習装置においては,母線電圧は200Vとすることとした。このようにすることで,高い安全性を確保したうえで実習を行うことができる。一方,現実の設備を正確に再現する必要があることから,計器用変圧器(VT)の変圧比は220/110Vとし,一方の電圧計の変圧比は6600/110Vとすることで,母線に220V印加されたときに電圧計に6600Vと表示させるようにした。3.安全の確保

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