2023年1号「技能と技術」誌311号
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千葉職業能力開発短期大学校成田校 前田 みづほ独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では,技術革新に対応できる高度な知識と技能・技術を兼ね備えたテクニシャン・エンジニア※を育成するため,全国24の職業能力開発短期大学校等に専門課程を設置(厚生労働省所管)し,主に機械システム系・電気電子システム系・電子情報制御システム系・居住システム系の知識・技能・技術を身に付ける職業訓練を行っている。このような訓練系の中で異色な存在が,輸送機械整備技術系航空機整備科であり,全国で千葉職業能力開発短期大学校成田校に唯一設置されている。この度,技能と技術2023年1号において,千葉職業能力開発短期大学校成田校における教育訓練を紹介する機会を得たので,高度職業訓練の変遷,その一翼を担う千葉職業能力開発短期大学校の生い立ちなどに加え,生産技術科及び航空機整備科の高度職業訓練を紹介する。※テクニシャン・エンジニアとは,習熟の積重ねによる熟練労働者ではなく,いわゆるテクニシャン等高度な技術的知識と実践的技能を併せ持った適応力の豊かな技能及びこれに関する知識を身に付けた技能労働者のことである1)。2.1 職業能力開発短期大学校の設立昭和49年12月に職業訓練法及び雇用促進事業団法の一部が改正され,当時の雇用促進事業団(現独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)が職業-7-訓練短期大学校を運営することとなり,全国の総合高等職業訓練校は,技能開発センター(現職業能力開発促進センター)と職業訓練短期大学校(現職業能力開発短期大学校)に再編されることになった。職業能力開発短期大学校は,表1に示すように職業訓練法の下でまず23校が設置され,さらに,職業訓練法を引き継いだ職業能力開発促進法の下で4校追加され27校となったが2)3),その後全国的な組織の見直しにより,現在は24校の設置である。2.2 千葉職業能力開発短期大学校の設置全国的な動きの中で,平成3年4月に,千葉市にあった千葉総合高等職業訓練校(昭和30年4月開校4))が,2年課程の生産機械科,電気機器科,木工科など9科を整理統合し,制御技術科,電子技術科,情報システム科,住居環境科,デザイン科の5科を設置する千葉職業訓練短期大学校に再編された。この再編に併せて,成田市にあった成田総合高等職業訓練校(昭和45年4月開校)も機械科・溶接科・板金科の機械系3科を統合した生産技術科と昭和47年4月に設置された航空機整備科(国公立の大学等で唯一の整備部門の航空従事者養成施設)の2科を設置する千葉職業訓練短期大学校の成田校となった。千葉職業訓練短期大学校成田校は,この再編に併せて,実習棟・学生寮・セミナーハウスの建て替えも同時に行われた。図1に,昭和46年当時の成田総合高等職業訓練校の航空写真を,図2に平成3年当時の千葉職業訓練短期大学校成田校の航空写真をそれぞれ示すが,敷地内では校舎等の配置が変わり,周辺では平成6年に開業した公津の杜駅(京1.はじめに2.高度職業訓練の始まり千葉職業能力開発短期大学校成田校における職業能力開発について

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