2023年1号「技能と技術」誌311号
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図5 ビーチクラフト式 ボナンザG36型(ビーチ社カタログ[6]より)-36-式PA-28R-201型およびビーチクラフト式 ボナンザG36型について検討を進める。高翼の機体を選定しない理由としては,当校学生の就職先がほとんど,大型旅客機を扱うエアラインであり,大型旅客機には高翼機がほとんど無く,将来大型機を取り扱う学生にとっては低翼機が構造等の学習に有利であるからである。B.両機種の比較及び要件の確認TB-10型および両機種について諸元の確認を行う。選定に当たっては,3項の要件のうち特に差異の大きな部分について検討する。(1)3-B-(1)項の機体についてはc項とg項を除き大きな差異はない。c項「機長席を含め,4名以上が搭乗できること。」についてはTB-10型は5名,PA-28R-201型は4名そしてG36型は6名であり要件を満たしている。g項の「大きさは,全幅11m×全長9m×全高3.5m以下であること。」この要件は格納庫での訓練時の作業スペースを考慮したものである。どの機種も当該要件を満たしている。(表2参照)手動のためフラップレバーがフラップ位置表示器を兼ねており要件を満たしている。(4)3-B-(4)項の発動機等については,エンジン諸元を表3にまとめる。TB-10型とPA-28R-201型はどちらもライカミング社のエンジンを搭載し共通点が多い。G36型はコンチネンタル社製6気筒,総排気量550立方インチで馬力も300HPと大型のエンジンである。どの機種においても3-B-(4)項のa~f項の要件を満たしている。なお,表3にない違いとして,TB-10型とPA-28R-201型は2枚プロペラで,G36型は3枚プロペラである。エンジン,プロペラの共通性から発動機等についてはPA-28R-201型が望ましいと考えられる。A.翼配置の要件について機体構造の大きな違いとしてテクナム式 P2006T型およびセスナ スカイホーク 172S型は高翼の機体である。そのため「翼は,低翼配置であること。」(3.B.(1)f項)の条件を満たさないので,パイパー(2)3-B-(2)項の着陸装置については,b項「全脚は,脚引き込み装置を有すること。」に関しTB-10型にその装備はないため,現在は別の機体(パイパー社製PA-34-200T)の着陸装置を教材として使用している。PA-28R-201型もG36型も脚引き込み装置を有しており,条件を満たしている。(3)3-B-(3)項の高揚力装置(フラップ)については,TB-10型とG36型は電気式でPA-28R-201型は手動であるが,a項「左右のフラップは,機械的な連結により同調して作動する」要件を満たしている。またb項「フラップ位置が確認できる」はTB-10型とG36型は電気式フラップ位置表示器を有し,PA-28R-201型は6.訓練機材の選定

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