2023年1号「技能と技術」誌311号
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現有のTB-10型の仕様をもとに新機材に求められる要件を設定した。A.基本要件(保証など一部契約に関わる要件は省略)(1)中古品及び改造品は不可とし,新造機であること。(2)整備用であるため,整備性が良いものであること。(3)航空機としての新規登録及び耐空証明は不要であること。(4)航空従事者養成施設申請・審査要領を考慮した仕様であり,必要な各種機能を有し,それらが教育訓練に有効であること。(5)二等航空運航整備士技能証明取得訓練に必要な機種及び機材であること。(6)電子航法装置等に使用するソフトウェアを定期的に更新できる環境であること。B.詳細要件(1)機体a. 等級は,陸上単発ピストン機であること。b. 耐空類別は,飛行機N 類又はU 類であること。c. 機長席を含め,4 名以上が搭乗できること。d. 胴体及び主翼の構造は,縦通材(ストリンガー・ スパー),円きょう(フレーム・リブ)及び外板(スキン)等で構成された全金属製セミ・モノコック構造であること。e. 翼の内部に燃料タンクを備えていることf. 翼は,低翼配置であること。g. 大きさは,全幅11m×全長9m×全高3.5m以下であること。h. ハードウェア及びソフトウェアは,最新のものとすること。(2)着陸装置a. 主脚又は前輪脚は,オレオ緩衝装置を有すること。b. 全脚は,脚引き込み装置を有すること。c. 脚引き込み装置は,油圧以外の方法により,脚を下げ位置に保つ機能を有することd. 故障時には手動等により,脚を下げることが出来る装置を有すること。-32-e. 脚位置指示器又は各着陸装置が下げ位置に固定されていることを操縦者に示す装置を有すること。f. 着陸装置を完全に下げ位置に固定せず,着陸態勢で進入した場合に連続的に作動する音声警報装置を有すること。(3)高揚力装置(フラップ)a. 左右のフラップは,機械的な連結により同調して作動する装置であること。b. フラップ位置が確認できること。(耐空性審査要領第Ⅱ部4-4-14に適合すること。)(4)発動機等a. 空冷,水平対向,4又は6シリンダのピストンエンジンであること。b. エンジン総排気量は,300~600立方インチであること。c. 燃料制御装置は,フロート式気化器又は燃料噴射式気化器系統であること。d. 使用燃料は,日本国内で調達が容易な規格(航空用ガソリン)であること。e. 点火系統は,高圧マグネトであること。f. プロペラは,定速可変ピッチプロペラであること。(5)電子電気装備(TB-10型は従来型の装備であるが最新の装備を要件とする。)a. 計器飛行が可能な飛行計器及び航法計器等を有した集合電子表示計器(ガーミン社製 G500TXI/G1000 NXi Integrated Avionics System又はこれと相当品)を有すること。b. 姿勢および方位を表示するPrimary Flight Displayを有すること。c. 姿勢方位測定装置(Attitude and Heading Reference System)を有すること。d. 外気温度計(OAT Probe)が付いたAir Data Computerを有すること。e. Marker Beacon及び機内通話装置(Intercom)が付いたAudio Control Panelを有すること。f. 航空交通管制自動応答装置(MODE S Transponder With ADS-B Out)を有すること。g. 超短波無線航法装置及び通信装置(NAV/COM/GPS/WAAS)を有し,二重構成とすること。(ガーミン社製 GTN650又はこれと相当品)3.訓練器材としての要件

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