2023年1号「技能と技術」誌311号
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表4 アフターバーニング(後燃え)についての考察アフターバーニングとは,排気管内において混合気が爆発的に燃焼することをいう。すさまじい爆発音を伴い,人の安全上・周囲の環境上・エンジンの破損上,なるべく避けなければならない現象である。4.1 アフターバーニング現象の詳細について文献[2]に記載があり転記すると,a「混合気が濃すぎると炎速度が遅くなり,未燃焼ガスが排気の中に残って空気が排気管外から入り,この未燃焼ガスと混じって着火する。」b「点火プラグの失火で,未燃焼混合気が排気管内に排出され着火する。」とある。ここに,未燃焼ガス:着火されたが十分に燃えきっていないガス未燃焼混合気:着火していない混合気記載がないため自身が追加して,c「混合気が濃すぎてシリンダ内で着火できずまたは十分に燃焼せず,未燃焼混合気または未燃焼ガスが排気管内に排出され着火する。」着火源についても記載がないため考えられるものを追加して分類すると,d「排気管の高温部の熱」e「正常燃焼して追いかけてきた排気の熱」4.2 アフターバーニングを起こす項目実際に,アフターバーニングを経験する場合は次の4つである。Ⅰ:点検表2-11エンジンスタート時-24-Ⅱ: 点検表4④マグネト・チェック時にうっかりマグネト・セレクタをOFF位置にしてしまい,その後L(R・BOTH)位置に戻した瞬間Ⅲ: 点検表4⑨加速チェック時にスロットル・レバーを急激に前へ進めたときⅣ: 同4⑨加速チェック時および4⑩フルスロットル・チェック時にスロットル・レバーを急激に手前へ引いたとき4.3 現象の詳細と着火源の考察Ⅰの場合の現象はaまたはc,着火源はdまたはeと考えるが断定し難い。Ⅱの場合の現象は確実にbである。セレクタOFFの間には起こらないことから,着火源はdではないことが証明される。したがって,着火源はeとしか考えられない。Ⅲの場合の現象は「気化器の加速ポンプの働きによるもので,過度の燃料供給により一時的に混合気が濃すぎる状態になること」で間違いない。このときの回転数は1500RPM以上であるので,空気が排気管外から入ってくるとは考えられない。したがって,この現象はcと考える。アイドリング・チェックの後であることから排気管の温度はさほど高くないので,着火源はやはりeと考える。Ⅳの場合の現象は「急激にスロットルを絞ったために,気化器内のスロットル・バルブ後流部の圧力(密度)が急激に低下する一方,燃料ノズルから排出される燃料流量はその慣性により直前と変わらず,一部の混合気が過濃となること」と推定する。前述Ⅲと同様に,この現象はcと考える。着火源も同様にeと考える。考察結果をまとめて表4に示す。4.アフターバーニング(後燃え)現象についての考察

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