2022年4号「技能と技術」誌310号
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図1 ファン実習装置図2 ファン実習装置の概要図千葉職業能力開発短期大学校 五十嵐智彦・栗秋 亮太近年,持続可能な開発目標(いわゆるSDGs)が注目されるとともに,工場やビル設備等においても,省エネ技術についての関心が高まっている。一般に,工場やビル設備におけるファンやポンプ設備にインバータを適用すると大きな省エネ効果が得られることが知られており,広く普及しつつある。それに伴い,職業能力開発施設におけるインバータに関する教育・訓練に対する需要も増加してきている。筆者らは,主に職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)や職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)における汎用インバータの活用に関する教材を開発してきた(1)。文献(1)では,省エネ効果を実験的に体感できるようポンプ負荷実習装置を開発し,その実験結果について報告した。しかし,実際の省エネの現場においては,ポンプ設備のみではなく,ファン設備も多く省エネ対象とされる。そこで本稿では,汎用インバータによる省エネのもう一つの適用対象であるファン設備について,その動作原理や風圧・風速等の諸量の測定法,ファンの軸動力の計算,およびその省エネ効果が実験的に学習できる実習装置を開発し,その特性を評価したので報告する。-17-一般に,換気設備等で用いられるファン・ブロワにおいては,その風速を可変させる機構としてダンパを用いる。これは,流体の流路に流体の抵抗となるように短冊状の板を設け,この板の角度を0°~90°の間で可変させることで風速を調整している。ダンパを調節することで風速を調節してもファンの消費電力が大きく変わることがないので,消費電力を風速の3乗で低減させることができるインバータ制御1.はじめに2.実習装置の概要風洞実験装置を用いたファンの省エネ実習装置の開発

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