2022年4号「技能と技術」誌310号
17/30

表2.令和2年度 安全意識の統計解析結果令和2年度1年生24名の安全意識調査データにおける各因子の平均値を統計解析した結果を表2に示す。Friedman検定ではすべての因子においてP<0.05であるので、どこかで有意差があると考えられる。「機械の安全な使用法を実践しようとする意識」因子を見ると、平均値は1-2回目において0.88点上昇しているが、2-3回目では0.20点下降している。多重比較の結果、1-2回目はP<0.05、2-3回目はP≧0.05であるため、2-3回目は有意差が確認できなかった。また、効果量rについては、1-2回目は0.80で効果大、2-3回目は0.29で効果小であることがわかる。「決められたルールを守ろうとする意識」因子を見ると、平均値は1-2回目において0.60点上昇しており、2-3回目でも0.08点上昇している。多重比較の結果、1-2回目はP<0.05、2-3回目はP≧0.05であるため、2-3回目は有意差が確認できなかった。また、効果量rについては、1-2回目は0.77で効果大、2-3回目は0.34で効果中であることがわかる。「清掃や清潔を心掛ける意識」因子を見ると、平均値は1-2回目において0.69点上昇しており、2-3回目でも0.22点上昇している。多重比較の結果、1-2回目、2-3回目ともにP<0.05であるため、どちらも有意差を確認できた。また、効果量rについては、1-2回目は0.75で効果大、2-3回目も0.53で効果大であることがわかる。「作業効率より安全を重視する意識」因子を見ると、平均値は1-2回目において0.92点上昇しており、2-3回目でも0.21点上昇している。多重比較の結果、1-2回目はP<0.05、2-3回目はP≧0.05であるため、2-3回目は有意差が確認できなかった。また、効果量rについては、1-2回目は0.79で効果大、2-3回目は0.44で効果中であることがわかる。以上のことから、すべての因子において入場教育における安全訓練の効果が表れていることがわかる。実習における安全訓練では、「機械の安全な使用-15-法を実践しようとする意識」因子の向上が確認できていないが、他の因子に関しては向上もしくは維持ができているということがわかる。実習における災害の減少のため、機械安全知識と安全意識の向上を目的とした安全訓練を実施し、その効果を検証することとした。安全訓練として、実習前に行う入場教育と、実習中に実施する安全訓練を行い、それぞれの前後で計3回の調査を行った。調査方法は機械安全知識調査問題および安全意識調査アンケートを用いた。調査結果に関して、有意差検定と効果量測定を行うことにより、木質構造標準課題実習における安全訓練が、機械安全知識と安全意識の向上に係る効果を検証した。検証の結果、入場教育において、機械安全知識および安全意識の向上を確認することができた。実習中に実施する安全訓練では、機械安全知識の大きな向上は見られないが、卓上丸鋸盤と角ノミに関する機械安全知識は保てていることが確認できた。安全意識についてもおおむねその意識の維持ができていることが確認できた。今回の検証により、実習中に実施する安全訓練での機械安全知識と安全意識の向上が今後の課題であると考えられる。この検証は今後も継続し、学生の6.安全意識調査の結果および考察7.まとめ

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る