2022年4号「技能と技術」誌310号
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表1.令和2年度 機械安全知識の統計解析結果た上位4因子を起用し、第1因子「機械の安全な使用方法を実践しようとする意識」、第2因子「決められたルールを守ろうとする意識」、第3因子「清掃や清潔を心掛ける意識」、第4因子「作業効率より安全を重視する意識」とした。令和2年度1年生24名の機械安全知識調査データにおける平均正答数を統計解析した結果を表1に示す。すべての機械の合計から全体的な傾向を見ると、平均正答数は1-2回目において3.66点上昇しているが、2-3回目では1.25点下降している。全体の有意差を確認するFriedman検定ではP<0.05であるので、どこかで有意差があると考えられる。多重比較の結果、1-2回目及び2-3回目においてもP<0.05であるため、どちらも有意差が確認できた。また、効果量rについては、1-2回目0.88、2-3回目0.50とどちらも効果大であることがわかる。パネルソーを見ると、平均正答数は1-2回目において1.05点上昇しているが、2-3回目では0.51点下降している。Friedman検定ではP<0.05であるので、どこかで有意差があると考えられ、多重比較の結果、1-2回目はP<0.05、2-3回目はP≧0.05であるため、2-3回目は有意差が確認できなかった。また、効果量rについては、1-2回目0.75、2-3回目0.50とどちらも効果大であることがわかる。自動一面鉋盤を見ると、平均正答数は1-2回目において1.34点上昇しているが、2-3回目では0.50点下降している。Friedman検定ではP<0.05であるので、どこかで有意差があると考えられ、多重比較の結果、1-2回目はP<0.05、2-3回目はP≧0.05であるため、2-3回目は有意差が確認できなかった。また、効果量rについては、1-2回目は0.75で効果大、2-3回目は0.32で効果中であることがわかる。卓上丸鋸盤を見ると、平均正答数は1-2回目において0.17点上昇しているが、2-3回目では0.04点下降している。Friedman検定ではP≧0.05であるので、有意差は確認できなかった。多重比較の結果でも、-14-1-2回目、2-3回目ともにP≧0.05であるため、有意差が確認できなかった。効果量rについては、1-2回目0.16、2-3回目0.18で効果小であることがわかる。角ノミを見ると、平均正答数は1-2回目において1.08点上昇しているが、2-3回目では0.17点下降している。Friedman検定ではP<0.05であるので、どこかで有意差があると考えられ、多重比較の結果、1-2回目はP<0.05、2-3回目はP≧0.05であるため、2-3回目は有意差が確認できなかった。また、効果量rについては、1-2回目は0.75で効果大、2-3回目は0.20で効果小であることがわかる。以上のことから、卓上丸鋸盤以外は入場教育における安全訓練の効果が表れていることがわかる。ただし、卓上丸鋸盤については、1回目の調査から他の機械よりも平均正答数が高くなっており、かつ有意差もなく効果量も小となっているため、入場教育前から十分な知識を有しており、それを保てているものと考えることができる。実習における安全訓練では、パネルソーと自動一面鉋盤において、その機械安全知識を保てていないことがわかる。卓上丸鋸盤と角ノミに関する機械安全知識は保てていることがわかる。これは、パネルソーと自動一面鉋盤は、卓上丸鋸盤と角ノミに比べ、実習中の使用頻度が少ないためであると考える。5.機械安全知識調査の結果および考察

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