2022年4号「技能と技術」誌310号
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図9 感電体験装置の展示の様子図10 感電体験装置を操作している様子電圧調整器が最小設定(0V)となっていることを確認した上で装置電源コードを商用電源(AC100V)に接続する。この状態で電圧計がゼロであることを確認する。次に2つの遮断器のスイッチを「入り」にし,電圧計がゼロであることを確認の上,スタートボタンを押す。すると,スタートボタンに内蔵されたLEDが点滅し始める。ここで,感電体感部に右手を当て,徐々に誘導電圧調整器を回して電圧を上げていく。すると保護抵抗間の電圧が約0.4VになったところでLEDが点灯状態になり,そこから時間計測がスタートする。さらに誘導電圧調整器を回して電圧を上げていくと右手にはピリピリとした感電を感じ始める。その際の電流値はテスタに表示されており,電流と感電体感の関係を感じることができる。誘導電圧調整器をさらに回し,通電電流が0.65mAを超えるとリレーが開放され,通電が遮断される。リレーが開放される前に被験者が右手を電極から離した場合には,印加電圧が電圧計に表示されたまま電流は流れない状態となる。一方,通電電流0.65mAに達する前に10秒が経過した場合にはリレーがオフとなり,通電が遮断される。ここでさらに電圧を上げて感電体感を継続したい場合には,この状態からスタートボタンを押し,誘導電圧調整器を回して電圧を上げていく。この場合,スタートボタンを押すと同時にLEDは点灯し,時間計測が開始される。以上,本装置によって通電電流が0.65mAまでの感電体験をすることができる。なお,ここで操作を誤って誘導電圧調整器を最大にした状態で右手を電極に当てスタートボタンを押した場合には,瞬間的に0.65mAを超えた電流が流れることになるが,すぐにリレーがオフになるほか,万が一回路が開放されなくても体感部には最大50Vまでの電圧が印加されることになり安全上問題となるような感電は生じない。北海道職業能力開発大学校では,毎年2月に学内-9-外の人に対して大学校の活動を紹介するポリテックビジョンが行われている。この中のイベントの一つとして,専門課程(2年間の教育課程)の総合制作実習や応用課程(専門課程終了後の2年間の教育課程)の開発課題の成果物発表や展示が行われる。本研究で開発した感電体験装置を,2021年2月20日に行われた第18回北海道ポリテックビジョンにおいて展示・体験コーナーに出展した。図9は感電体験装置の展示を行った際の様子を示した写真である。来場された多くの方に,図10のように実際に感電体験を経験してもらい,図11のように体験感想をお聞きした。それらの多くは感電時の体感と電流の関係をリアルタイムで感じ取ることができ,目に見えない,また音もしない普段,意識しない電気の存在を確認できる勉強になったというもので,開発した学生にとって,嬉しい評価を多数いただいた。5.ポリテックビジョンでの評価

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