2022年3号「技能と技術」誌309号
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図13 接地板埋設のようす図14 制作したラジオ受信機(上面)図15 制作したラジオ受信機(正面)実際に筆者らが架設したアンテナを図12に示す。このアンテナは,地上6階建て校舎の屋上部分に,直径1.6mmの裸軟銅線を水平方向に配置したものである。これは,逆L型アンテナであり,構造としては極めて簡素なものである。筆者らの試行でも,アンテナの高さが高い程入感する信号が大きくなる一方,水平部の長さは,さほど厳密に検討する必要はないようであった。文献(8)には,『電燈線アンテナ』が当時販売されていたという記述がある。これは,配電線の1本の電線から固定コンデンサを経て,ラジオのアンテナ端子に接続するもので,配電線をアンテナの代用とするものであるが,万が一非接地側に接続してしまった場合は,焼損のリスクがあり,推奨できないとしている。また,現代においては,電子機器のノイズのために,これを用いるのは困難であると思われる。現代のラジオではバーアンテナが用いられることが多いため,必ずしも接地を必要とはしないが,放送開始当時は前述のとおり,モノポールアンテナをベースとしたアンテナが採用されることが多かったため,必然的に接地が必要となる。接地極の施設については,例えば文献(13)には,次のようにある。『水道の設けのある都會では,装置から室の隅を通って,水道口まで持って來て,水道の蛇口のもとを,ヤスリ紙か磨き砂で磨いて,これに五六回堅く巻きつけておけばよい』ただしこれは,当時の水道管が鉛管であったために可能であった方法で,現代ではその多くが塩化ビニル管に置き換わってしまい,水道管によって接地が有効に取れるとは考えにくい。また,続けて以下のような記述がある。『かやうに接地として利用すべきものゝない場合には,どうするかというと,なるべく,厚さ五厘以上,二尺四方ぐらゐの銅板,亞鉛板ならば,その倍もあるものを,地下數尺のところに埋め,その一端に銅-32-線をハンダ付けにするのである。尤も,濕地で,少し掘ると水の湧くやうなところならば,淺くてもよく,乾いたところならば,深くなければならない。要するに,銅板が地中の水につかるのが理想であるが,それほどでなくても,濕つたところにあればよい。尚,銅板の周圍に木炭の粉を入れると大地との連接が一層よくなる。』上記のようにすることにより,接地極を施設することができる。また,これとは異なる方法として,『接地容量網(カウンターポイズ)』という方法もある(9)。これは,大地が乾燥していたり,岩石が多かっ5.接地極(アース)

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