2022年3号「技能と技術」誌309号
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図2 バリコンの構造(3DCADモデル)図3 固定板の構造図4 可動板の構造図5 自作した可変容量蓄電器る。ラジオ放送草創期においては,どちらの形式も使用されたようであるが,本稿では設計がしやすいバリアブルコンデンサで同調周波数を可変する方式を採用し,バリアブルコンデンサを自作し,回路に組み込むこととした。バリアブルコンデンサの自作については,例えば,文献(6)等で紹介されており,本稿ではこれを参考に制作を行った。図2に今回作製したバリコンの全体像を示す。図2中,青部で示したのが固定板(図3)であり,バリコン筐体とは円周部の3ヵ所の軸で固定している。また,赤部で示したのは可動板(図4)であり,円の中心部にある軸を中心に回転するようになっている。中心軸にダイヤルを取り付けると,軸と同時に可動羽根が回転し,静電容量を可変させるに決めた。一般に,バリコンの静電容量は250pF~600pF程度が多いが,今回は静電容量を400pFとして作製することとした。静電容量Cは次式により求められることが知られている。ここで,Sは極板面積[㎡],dは可動羽根と固定羽根の距離[m],nは可動羽根と固定羽根の間隙の数である。εは誘電率であり,次式により求められる。ここで,εrは比誘電率であり,空気中でほぼ1.0である。また,ε0は真空誘電率であり,8.8542×10-12 F/mである。今回は,静電容量Cを400pF,可動羽根の半径を60mm,極板間距離dを2.0mmとし,各値式(1)に代入すると,極板間隙数n=10となる。したがって,固定羽根6枚,可動羽根5枚とした。材質はアルミ板とした。今回作製した可変容量蓄電器を図5に示す。可変容量蓄電器の筐体部分は,極板間の電気的絶縁を容易とし,かつ機構を観察しやすくするためにアクリル板を用いた。-29-

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