2022年3号「技能と技術」誌309号
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図2 「こんな時はどうしたら?」どうしたら?」というタイトルの項目として取りまとめた。共通点があった項目は以下の通り。(1)特性についての聞き取り方や,アプローチを知りたい。(2)信頼関係構築の糸口を知りたい。(3)修了後の支援について具体的に知りたい。(4)通常の指導により改善しない場合の対応法を知りたい。(5)当初から本人が支援を求めていない。(6)発達障がいのような特徴がみられるが,診断は受けていない方に対するアプローチを知りたい。(7)訓練生の観察記録の方法4.2 指導の際に活用できる情報収集について本年度の事業では,事例検討の他にも,精神・発達障がいのある方の職業訓練や就労支援について,先進的な取り組みをされている施設を訪問し,訓練の様子や設備等を見学させていただき,担当職員の方々との意見交換を行う等,今後の一般科目の指導員が訓練で活用できるような,指導力と対応力強化に向け,とても有益な情報収集をできた。またこれまで長年に渡り,精神・発達障がいのある方を多数雇用されている特例子会社へも訪問し,障がいのある方が安定して働き続けるための取り組みについて,訓練で実践できそうな取り組みや工夫についてご意見をいただいた。-16-その中で,雇用を開始された当初より特に注力されているのが,職員間のコミュニケーションとのことで,職員さん個々の障がい特性に配慮したコミュニケーションのためのツールの開発を行い,意思疎通を丁寧に図っているとのことであった。また,定期的に担当者との面談の機会を設定し業務への意欲の向上となるような,面談内容や話し方の工夫など,環境の整備を行うことで安定した就労につながったなどの取り組みについて伺うことができた。この他にも,指導が困難となる原因が障がいに起因する場合などに,指導員が知っておいた方が良いと思われる,生活支援や就労支援などの相談支援機関を始め,障がい者支援に関するさまざまな主に基本的な情報についての項目についても取り上げた。令和2年度の事業の取りまとめとして,毎年度3月に実施している指導員全体研修において,本事業の実践報告として完成した事例集の意義や具体的な活用について周知する予定をしていた。しかし,昨今のコロナ禍の影響で,感染拡大防止の観点からやむなく,取り止めることとなった。5.1 次年度への改善の取り組みについて事例集を活用した研修が実施できなかったため,事例集の内容について指導員の受け止め状況の検証が行えなかった。令和2年度の締めくくりとして校内委員会を開催し,本年度の事業全体の振返りと評価を行い,令和3年度の事業に向けた改善点の検討を行った。5.2 新たな課題への対応について委員会の中で出た意見の中に,これまで以上に困難性の高い,個別の対応が必要な訓練生が増加している状況があり,また通常の訓練指導以外の業務も増加傾向にある中で,指導経験の浅い指導員を中心に,心的な負担を抱えている場面が多く見受けられる。そうした指導員のメンタル面のフォローと負担5.令和2年度の取り組みを振り返って

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