2022年2号「技能と技術」誌308号
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図1 電気工事の職種における有効求人倍率図2 電気配線の様子(以前)①電気工事の技術者を輩出し,慢性的な人材不足である福井県の電気工事業に貢献してほしい。②技術を学んだだけの人材ではなく,即戦力を輩出してほしい。③未経験者でも人のなりわいに必要不可欠な電気工事業に魅力を感じる人材を輩出してほしい。これらのいただいた課題要望から日々,関係省庁・団体等取り組み(4)(5)を調査し,訓練に反映・見直しを実施した。福井県の産業,特に電気工事業にどのようにしたら貢献できるかを模索し続けてきた。1-2. 電気設備技術科における電気工事関連訓練の現状と課題図2に電気配線の様子(以前)を示す。電気設備技術科の電気工事の訓練では,①1カ月目:電気理論,器工具使用法と関係法規,②2カ月目:電工板を用いた各種工事演習,③3カ月目:太陽光発電システムおよび住宅配線の流れで実施していた。住宅配線については,当センターには模擬家屋もなく2カ月目に使用する電工板の上に天井を模した木材を置き,電工板を壁(2面のみ)と想定して実習を行っていた。その際,電気配線の基本である「隠ぺい配線」の練習も兼ねて,壁や天井の一部にのみ石こうボードを貼り,石こうボードの開口の実習を行っている場合もあった。実際の仕事において,石こうボードの施工等については電気工事の仕事では-6-ないが,住宅配線関連に就職するにあたっては,他業種との連携もあるため,身につけておくべき知識だと考える。しかしながら,電工板は仮想の模擬家屋ということもあり,訓練生の習熟度や仕事への活用などは考慮されていなかった。いわば,電工板による電気工事の訓練は実際の現場での仕事を想定したもの(模したもの)であり,実際の現場で行われている隠ぺい配線や壁や屋根裏等の狭空間での作業は体験することができない。現場での難しさや困難さ,そして,創意工夫を体感・習得することはできない。そこで,訓練生の習熟度や仕事への活用および実際の現場を想定した隠ぺい配線を行うことができる「模擬家屋の製作」を行い,実際の現場における電気工事の作業を訓練に適用することを考えた。実際の現場での作業環境で訓練を実施することによって,即戦力人材を育成することができると考えた。施設内訓練でありながら,実際の現場を体験できる取組として「施設内デュアル訓練」と命名し,取り組んだ。

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