2022年2号「技能と技術」誌308号
7/44

表1 有効求人倍率の推移福井職業能力開発促進センター 廣川 雅也・篠  元太-5-なっている。福井県の特色として,県外での就職より県内での就職を希望する者が多いこと,離職者が少なく失業率も低いことがあげられる。図1に電気工事の職種における有効求人倍率(2)を示す。福井県の全体の有効求人倍率は「1.0~2.0倍程度」で推移しているのに対して,電気工事の場合は「約7~12倍」で推移しており,電気工事の職種に関する求人需要が高く,深刻な人材不足となっている(3)。当センターの電気設備技術科修了生の就職先については,約4~6割の者が電気工事に関する仕事に従事している。20代の若手のみが進んでいるわけではなく40代や,少しではあるが60代も従事している。直接的な電気工事の仕事や設備設計や点検といった業務のほか,電気工事の際の警備をする仕事も求められるため,幅広い年齢層での就職が可能となっている。しかしながら,電気工事関連の事業主団体や企業からは,企業へのフォローアップ調査やニーズ調査等から,以下に示す課題をいただいている。1-1. 福井県の求人状況や電気工事業関連企業を取り巻く情勢ポリテクセンター福井(以下,当センターという。)の電気設備技術科では,仕上がり像AとBの組み合わせで訓練を実施し,定員は15名の積み上げ式である。仕上がり像Aでは「電気設備工事ができる」,仕上がり像Bでは「シーケンス制御回路および消防設備の設計・施工,PLC制御回路の設計ができる」の知識・技能の習得を目標に訓練を行い,入所月は7月,1月(橋渡し訓練については,6月,12月)である。訓練生のほぼ全員が第二種電気工事士を受験し,合格率もほぼ100%となっている。修了生の約4~6割の方が電気工事分野へ就職している。第二種電気工事士の資格関係や就職先を鑑みて,電気工事に対して関心があることが分かる。表1に有効求人倍率の推移(1)を示す。福井県と全国における有効求人倍率の推移となっている。福井県においては,全国平均を大きく上回る数値となっている。全国の中でも社長の数が1982年~2019年の38年連続でトップとなっており,そういった面から多くの企業が存在するため必然的に求人数も多くなってくる。しかし,単に求人数が多いから有効求人倍率が高いだけではなく,失業率も低くなっている。国内シェアの9割を占める眼鏡フレーム関係や繊維関係の大手企業の集積のほか,中小企業も多く存在し,そのほとんどにおいて転勤等がない企業と1.はじめに令和3年度職業能力開発論文コンクール 厚生労働大臣賞(特選)受賞〜電気工事業の仕事の魅力を全面に出した訓練生募集・就職率向上の取組〜施設内デュアル訓練の導入とその効果電気設備技術科における

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る