2022年2号「技能と技術」誌308号
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れは,結婚や出産,育児休暇取得により一時的に職場を離れるとき,復帰後に自身のキャリアへ及ぶ影響や,家庭と仕事との両立に対する不安である。学生が,当校の二年間の学びで技術を身に付けてものづくりの現場に出た後,結婚・出産・育児を経ても働き続けることができること,また柔軟な働き方があることなど「女性の就労のあり方」について,働く女性との対話を通して知ることができる場であることも,女子会・女性交流会の大きな意義である。将来的には,女子会を通して職業観を身に付けた学生が,社会に出てものづくりの現場で活躍することで,その姿が後輩女子学生の目標となり,また会社内の後輩にとってはキャリアパスのロールモデルとなれるだろう。7.3 地域への貢献女子会は当校内だけの取り組みから,地元地域へも波及している。江津市建設業協会では当校との女性交流会をきっかけに,令和3年5月女性活躍推進委員会を設立した。まだまだ建設業で働く女性は少なく,女性交流会アンケート結果で女性社員が企業同士のつながりを求める意見があったことからもわかるように,所属する会社は違っても,同じ業界で働く先輩,後輩としてお互いに学びあえる環境は必要だろう。このように女性同士で技術に関する意見交換や情報,悩みなどを共有できる場としても女子会・女性交流会は有意義である。建設業協会の女性交流の場設立につながったという点で,当校女子会の取り組みは地元建設業の発展に一役買うことができた。今後女性交流会は,近隣の工業高校の女子生徒と合同での実施や,島根県浜田地区建設業協会などにも対象を拡大するなど,より多くの参加者での実施を目指し,地元建設業を盛り上げ,建設業の人材確保につながる取り組みにしていきたい。女子会の活動を通して,当校が地域から必要とされる学校として存在価値を上げていくことで,近-23-い将来,当校への女性入校者が増え,女性技術者を地元に送り出せるという良い循環が生まれることを期待して,今後も女子会の取り組みを継続していきたい。そして,一人でも多くの当校出身の女子学生が,ものづくり女子として活躍することを期待している。最後に,本取り組みにご協力いただいた関係者の皆さま,本稿執筆にあたりご助言・ご指導いただきました皆さまに深く御礼申し上げます。8.おわりに

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