2022年2号「技能と技術」誌308号
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顔見知り程度の関係だという。また学生寮に入寮していない通学生は,学年や科をこえた交流をもつことは特に難しくなってくる。女子会が趣味や相談ごとも含めたさまざまな話題で話せる場を提供し,学生は積極的に学生同士での交流を図っている。現在女子会は,どんな企画でも毎回会話と笑いが絶えないため,学生にとってささいなことでも気兼ねなく本音で話せる場となっている。女子会終了後には,趣味仲間や同じ科の先輩後輩で連絡先を交換する姿がみられ,その後学生から「寮の談話室に集まった」や「女子会のグループLINEで連絡を取っている」など交流を持つ様子を聞くことで,女子会が学生同士の関係構築のきっかけの場として機能していることを再認識できる。入校後の早い時期から,学生同士で気軽に話せる関係を構築できる場を提供することで,学校生活や寮生活などで生じる軽微な心配事が,大きな不安に育つ前に対処できる可能性は大きくなる。6.4 職員との交流女子会は,学生と職員が交流できる場としての役目もある。それと同時に,女子会では普段とは異なる学生の素の姿が垣間見えるため,職員にとっては,学生の学校生活の状況や趣味・関心,人間関係,学校や学生寮の環境での困りごとなどを,全部とはいかないがある程度把握できる情報収集の場にもなる。これらの情報は,学校や職員が学生の支援を適切に行うための手掛かりとなり,また自身の担当する業務に反映できる学生からの貴重な意見にもなる。そのため授業を担当する指導員に限らず,普段学生と接点の少ない職員も女子会に関わることは大いに意義があり,性別や業務内容を問わず多くの職員が関わることで,学校全体でサポートする姿勢を学生に意識づけすることができるだろう。ただ,女性同士だから話しやすいという内容や場面もあるため,時には男性の参加を制限する等の配慮は必要である。6.5 地域との連携地域連携とは,女子会を通して地域とのつなが-21-りをもち,交流を深めることだと考える。これまでも,浴衣の着付けでは,地域の美容師の方にボランティアで講師をお願いしたり,メーキャップ講座でも地域の化粧品販売会社にご協力いただいたりと,地域の方と交流を持てる機会を設けてきた。建設業協会との女性交流会も地域企業の魅力を伝える地域連携の一つである。また,さまざまな場で女子会について積極的に情報発信することによって,江津警察署から女子会の企画として「護身術」講座の提案や,近隣の高校から女子会について問い合わせをいただくなど,地域の方からも関心を持っていただける取り組みになりつつある。〈学びやすい環境〉6.6 校内環境の整備女子学生の声を参考に,これまで行き届かなかった校内環境の整備を順次行っている。例えば,更衣室の中に外からのぞけないような目隠しや,着替えブース,また学生寮のトイレに擬音装置を設置した。まだまだ十分ではないが,学生の要望は,学校側では気づきにくいことも多く,これらの要望に対応できるよう今後も環境整備を継続していきたい。学生の声を学校側に伝える窓口を増やすという意味でも,繰り返しになるが,学生と関わる機会の少ない職員も女子会に積極的に関わって学生と交流を持つことは必要だと考える。〈応募拡大〉6.7 女子学生の応募拡大女子会の様子を外部に広く伝えることで,女子学生でも安心して学べる環境であることをアピールした。平成30年には女子会の様子を取材したリーフレットを作成し,広報に広く活用した。(図6-2)女子会の取り組みを紹介するもので,女子学生が好みそうな色調やデザインになっていて,当校のイメージアップにもつながった。令和2年度からは,女子会の様子について,当校のSNSを通じて情報発信を行っている。投稿記事は,女子会で出た学生の意見を参考に,地域やものづくりについてなどの単語をタグ付けし,多くの人

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