2022年2号「技能と技術」誌308号
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図11 電気設備技術科の入所率の推移さらに,企業説明会等で来所された企業の方にも見ていただいているが「ここまでやっているとは思わなかった」「資格試験だけでなく,実践に学べるのはいい」といった声もいただいている。実際に求人の数も増加し,本取組後,常に就職率は85%以上となっている。また,正社員就職率も80%以上である。図11は,電気設備技術科の入所率の推移を示す。本取組を導入する平成30年度までの段階では,40~60%程度の低い入所率となっている。実践的な訓練を実施するために「模擬家屋」を取り入れることによって,100%近くまたは100%を超える入所率にすることができた。この入所生のほとんどが訓練コース見学会に参加した者となっており,実際に完成した模擬家屋を見ることによって,電気工事の仕事の魅力を知り,興味を持ってもらえたのではないかと考えている。また,福井県電気工事工業組合の役員の方または傘下企業の方に本取組について監修をいただいた。本取組の有効性について好評価をいただいた。さらに福井県の電気工事業界発展のため,電気設備技術科訓練生の習得度向上のために協力したい旨の言葉をいただいた。訓練生の募集に際して,質のよい職業訓練を受講して,就職に結びつくという案内を求職者に実施してきた。しかし,求職者は,初心者であり,訓練の先に想定される仕事の実際や魅力を全く想像できないことがわかった。よって,いくら,当センターで実施している職業訓練コースの質の高さをアピールしても伝わらない。訓練で想定している職業に就き-10-たいという強い思いを抱く求職者も少ないと考えられる。そこで,当センターでは,職業訓練の募集に際し,大きな作戦変更を実施した。職業訓練の質を広報するだけでなく,その仕事の魅力を発信することに力を入れることとした。電気工事業は,福井県のみならず,全国各地で,なくてはならない職種であり,地域に光をともす,やりがいのある仕事であること,業界は後継者・従業員不足に悩んでおり,多数の求人があること,福利厚生も充実していること,をあらゆる機会で発信していくこととした。福井県電気工事工業組合と共同で,電気工事業の仕事のPRを求職者へ実施するとともに,当センターに入所した訓練生へ個別企業説明会を実施し,電気工事業の魅力を発信することで,就職率を向上できると考えた。これらの取組を人材育成研究会として実施し,入所率の向上,就職率の向上,そして,多くの訓練生を電気工事業界に輩出することで福井県の電気工事業関連産業の発展に貢献できると考えた。4-1. 福井県電気工事工業組合との連携による訓練生確保および電気工事業の担い手確保の取組令和元年度から2年間,福井県電気工事工業組合と協力し人材育成研究会を実施した。令和元年度の当初は,新人社員研修として電気工事の基礎や法令関係など電気工事に従事するために必要な基礎知識を学べるセミナーの開発や脚立や工具類などの安全教育をメインとしたセミナーの開発を計画し,人材育成研究会を実施していたが,そもそも人材確保(若手も中途も含む)に困っており,そちらの方が優先度は高いなどの声が上がった。そこで,セミナーの開発を行うのではなく,人材確保に関する取組を行うこととした。まず,人材育成研究会で行った人材確保の取組としては,当センターの訓練生を対象に電気工事業界の仕事紹介をすることとした。求職者目線の場合,電気工事がどのような仕事をしているのか不明であったため,人材育成研究会の参加企業と連携し4. 仕事の魅力を全面に出した訓練生募集活動と電気工事関連産業への貢献

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