2022年1号「技能と技術」誌307号
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<参考文献>-6-1) 「日本経済2016-2017 -好循環の拡大に向けた展望-」,内閣府(2017)2) 「令和元年度電気通信事故に関する検証報告」,総務省(2019)3) 大里尚樹,中川陽人,中島勇汰,安田圭伸,”AR(拡張現実)を使った作業支援システムの構築”,2021 ポリテックビジョン in 穴水予稿集,pp.9-10(2021)4) 補強スリーブの評価について,”第55回技能五輪全国大会「情報ネットワーク施工」職種競技課題概要”,pp.12(2017)5) 「子供・若者白書 就労に関して,学生時代に,もっと教えてほしかったことを教えてください」の問いに対する回答,内閣府(2018)望していたが,この実習をきっかけに希望を変更し,無事に進路を決めた。この企業は毎年技能五輪全国大会に出場している企業であり,意見聴取をさせていただいた企業でもある。本年度は応用課程への進学が2名,県内製造業に1名,県内IT系企業1名と関連する進路ではなかった。2つ目は手順書作成を通して知らない人にものを伝えることを経験し,わかりやすく簡潔に伝えることの難しさを実感できたのではないか。「コミュニケーション能力」を活かし,社会で活躍してほしい。総合制作実習の概要,学生指導について報告した。その中でもテーマ設定と目的・目標設定が重要である。総合制作実習は学生が主体で動くべきであり,あくまでも指導員はそのサポートに徹する。その中で学生生活ではできない経験をしてもらう機会をいかにつくるかは指導員次第であり,それ経験が学生にとって将来の職業生活に役立つと考える。また,今回使用したHoloLens2とDynamics 365 シリーズ組み合わせは,製造業を中心にさまざまな作業において活用が期待できる。例えば,Dynamics 365 Remote Assistを使用すれば,遠隔地から作業の様子を確認することができ,コロナ禍においてもスキル習得や作業確認ができるようになると考える。6.4. 伝える能力の育成これから社会人となる学生にとって「コミュニケーション能力」は重要である。学生の約50%が社会人なる前に教わりたかったこととしてこの能力を挙げている5)。ここでいう「コミュニケーション能力」とは,他者との意思疎通を図る(伝える,聞く(聴く),理解する)能力である。この能力を育成するために,手順書を作成する学生には「(作成した)手順書を使い初級技能者が同じ品質で作業できるように」と指示を出し,伝え方や表現方法,全体構成を含め,一から作成させた。また,学生は作業の内容やコツ,ポイントを知っているため,「知らない人に教える」ことの大変さや表現方法についても学ぶことができた。コロナ禍ということもあり,通常のようにいかない部分が多くあった。特に県外への移動を伴うイベントへの参加が軒並みできなくなり,オンラインでの参加となることが多かった。そのため,移動の負担は減るものの,その分準備の負担が増えた。また,1年間しかない実習の中で学生に多くの経験をさせ,学生が主体となり実習を進めるためには,指導員の準備や段取りが重要である。本制作では,実習に必要な物品購入や大会へ出場に向けた準備,意見聴取のための企業の方との調整などが苦労した点である。取り組んだ中で学生への効果としては3つある。①学生の就職②考える能力と伝える能力③大会に出場した経験その中で一番大きかった効果は,1つ目の学生の就職である。指導した学生のうち3名が「情報ネットワーク施工」職種に関する企業への就職が決まった。その中でも競技大会へ出場した2名は県外の大手電気工事会社へ就職した。元々は県内の企業を希7.学生指導の課題や苦労した点8.実習による学生への効果9.おわりに

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