2022年1号「技能と技術」誌307号
3/30

図1 情報ネットワーク施工作業石川職業能力開発短期大学校 江村 久彦近年ではInternet of Thing(以下,IoT)やクラウド,ビックデータといった技術がものづくり現場において普及し始めている。これらは「第4次産業革命」と呼ばれ,製造現場では機械の稼働状況や生産状況の情報をデータ化する。さらにそのデータを解析・蓄積・利用することで生産性向上などの新たな付加価値を生まれる1)。第4次産業革命においてはネットワーク(インターネット)に接続されることが前提となっており,これに障害があってはならない。その障害の主な原因の内,44%がケーブルなどの伝送設備である2)。このような背景を踏まえて取り組んだ総合制作実習の概要と学生指導について報告する。2.1. 職種概要図1に情報ネットワーク施工作業を示す。「情報ネットワーク施工」とは,私たちの生活に欠かせないインターネットやリモート会議などの情報ネットワークで使用されているLANケーブルや光ファイバなどの施工や保守をおこなう作業である。この職種で取り扱う光ファイバは直径が125[μm]と非常に細いため,丁寧な取り扱いが必要である。そのため,①正しい手順,②作業品質,③作業スピードの3つが重要となる。-1-2.2. 制作との関連本制作ではAR(Augmented Reality,拡張現実)(以下,AR)を使い,この職種の作業手順書を紙媒体のもの(以下,紙手順書)と電子媒体のもの(以下,AR手順書)の2種類を作成した。また,手順書を作成する作業を技能五輪全国大会「情報ネットワーク施工」職種の課題のうち,Module2F(光ファイバスピード競技)とModule2M(メタルケーブルスピード競技)とした。この作業は,初級技能者にとって基本的なスキルであり,かつ,重要なスキルであるため選定した。2.3. スキル習得学生自身が手順書を作成するためには,それらに関するスキルを習得する必要があると考えた。そこで技能五輪全国大会出場を目標とした。この理由としては2つある。1つは大会出場という定量的な目標設定をすることで効率的なスキル習得ができること,もう1つは技能五輪の課題が実際の現場(仕事)1.はじめに2.「情報ネットワーク施工」職種AR(拡張現実)を使った作業支援システムの構築

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る