2022年1号「技能と技術」誌307号
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福岡県の感染者推移グラフと教育対応触」であった。結論を言えば集合教育は極力回避すべきということになる。次に社外教育については,COVID-19流行後は殆ど中止されていたものが,感染者が比較的少ない県やエリアから少しずつ再開されていった。それは感染拡大の波を避けるような形ではあるが感染状況に応じたエリア毎の開催である。そこで社外教育については各現場の近くでの開催を利用することにし,社内教育についても各現場での学習できないか,その方法について模索し始めた。2.3 コロナ禍で模索した社内研修2020年度は従来どおり社内研修を含めた教育計画を策定しており,COVID-19感染拡大を受け4月から8月までは社内研修を一旦中止,9月以降に福岡市内近郊の現場のみを対象に実施した。2021年度も社内研修を計画していたが,4月以降の第4波となる感染拡大を受け一時的に中断,思案の末,通信教育的な方針へと転換を図り,次頁に示すような準備を進めた上で教育を開始し現在に至っている。下に福岡県新型コロナウイルス感染症対策本部による2021年1月時点の「新型陽性者数の推移」を参考に教育対応を載せたものを用意した。-16-2.4 通信教育を取り入れた新たな社内教育まずその構想だが,福岡県および九州一円に展開する現場を考慮すると,各県の感染状況にも違いがある中,特に福岡市に感染者が多かったことから,JR等公共交通機関を利用した移動を伴う集合教育には大きな感染リスクが伴うので,中止することを前提とし,同様の教育内容をPCを活用して実施できないか検討した。その結果,受講予定者は各現場に配布されたテキストで自習を行い,送信されたレポートに回答を記入し,教育担当者にメールで提出するという方法を考案し,次のように準備を進めた。①「技術 社内研修用テキスト集」を作成のうえ全現場に配布。②各現場の技術スタッフの学習日を教育日程表として作成。変更は現場責任者に一任した。③テキストの学習を終えた後に提出してもらうレポートを各現場へ送信。提出日を指定。④送信されてきたレポートを添削の上,★★★(優)/★★(良)/★(可)/再学習の4段階評価を実施した。⑤添削したレポートを本人に返信すると共に,解説書を添付し復習材料として提供した。ここでコロナ禍という事を無視して,集合教育と通信教育の利点,弱点についても考えてみたい。集合教育では受講者の反応を見て丁寧に説明できるなど利点もあるが,逆に新人から熟練者までの同時参加により,力量を考慮した教育が難しいという弱点もある。つまり新人に的を絞れば熟練者には退屈な教育となり,熟練者を優先すれば新人には難しい教育内容となる。その点で言えば,通信教育は自主的な学習を主体とするのでこの問題点を解消できる。一方受講する側の集合教育における利点としては,直接質問できること,また副産物的に他現場の受講者との交流により業務や設備の違いなどを知ることができ,技術スタッフ同士の交流も育まれる。この利点や弱点も考慮しながら,新たな社内教育体制をスタートさせることにし,現在もこの方法で教育を進めている。

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