2022年1号「技能と技術」誌307号
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その答えをレポートの考察に書かせるようにして,自由な発想による改善案を出させるようにすると,いわれたことをただこなすのでなく,自分の頭で考えるようになる。(3)グループ課題の導入授業の約10分間の時間を使って,グループ課題を取り入れ,学生が主体的に考える時間を作る。①課題例本実験により得られた疲労進展曲線について検討する。さらに,疲労寿命の予測方法を検討する。②グループ課題の進め方1. 疲労き裂進展過程の第1段階,第2段階,第3段階における各領域について考察する。2. 授業で学習した「S-N曲線」を例にして,その曲線から寿命予測の方法を検討する。各学生は,グループでディスカッションした内容をもとに,さらに,専門的な内容について文献調査し,最終的にレポートの考察にまとめる。(4)対面授業を受講できなかった学生の救済措置病気などの理由で,対面授業を受けられなかった学生の救済措置として,学生はオンデマンド動画で学習を行い,その学習内容をレポートに作成する。教員はそのレポートをもとに評価を行う。上記の取り組みを行い,さらなる教育の質向上に寄与させていきたい。図14 2022年度疲労き裂実験授業構成<参考文献>-14-1) 福村裕史,飯箸泰宏,後藤顕一 編(2020)『すぐにできる!双方向オンライン授業』化学同人,p.12.2) 藤本かおる:教室へのICT活用入門,国書刊行会,p.56(2020).7.1 まとめ2021年度疲労き裂実験の授業をつうじて,「反転授業の導入」「動画の利活用向上」の工夫を凝らした取り組みにより,「教育の質向上」に寄与した活動が実施できたのではないかと考える。そこで,2022年度は,この活動をブラッシュアップして,さらなる教育の効果を高めていく。7.2 今後の展開2022年度疲労き裂実験は,対面授業が全面再開された場合を想定して,図14に示す授業構成をもとに行う。下記にその主なポイントを述べる。(1)反転授業の活用方法2021年度の授業と同様に,「はじめに/理論編」の動画を用いて,対面授業の受講前までに「反転授業」による事前学習を行う。その反転授業で確保された対面授業の時間を使って,特に学習の重要な箇所,実験結果の解析など個々の学習レベルに応じて,きめ細かい直接指導の充実を図る。その予習動画の中に「確認問題」を随所に入れ,授業開始時に質問を行う。その答えを評価に組み込むなどの改善を図ることで,予習の率と質を高める。(2)動画の活用方法学生自ら,目的達成への工夫をさせる仕掛けを動画に組み込み,動画教育でも緊張感を維持させる。【目的達成例】①課題き裂長さをより正確に測定するにはどんな工夫が挙げられるか?②観測方法の改善案1. 試験片の表側からしかき裂長さを観測していないが,裏も表と同じなのか?裏のき裂長さも測って平均化するのはどうか(試験規格では効率も重視して確か片面からの測定でいいとはしている)。2. き裂進展速度変化が大きくなったときは,観測頻度を狭めるなど観測頻度を状況によって変えるのはどうか。7.総括

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