2022年1号「技能と技術」誌307号
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表2 オンデマンド型受講学生の動画視聴回数の要領,構成がわかっていない学生が見受けられたので,その配布資料に記載されているレポート作成の順番に沿って,説明用の動画を制作した。また,動画は学生が繰り返し視聴することで理解を深めることが可能である。ただし,繰り返し視聴させるには工夫が必要である。そこで,「6.レポート作成編」の動画は,ほとんどの学生が見るので,複数回視聴させる工夫を行った。具体的には,どの動画を見直せばレポートが書きやすくなるのか,例えば,“各式(2a,da/dN,ΔK)の求め方が不安な人は,「4.1実験編(結果)」の動画を視聴するといいでしょう。”とアナウンスする。学生は分割動画にしたことで,気楽にクリックしやすくなる。各コンテンツの視聴回数(平均クリック回数)を表2に示す。「4.1実験編(結果)」が最も繰り返し視聴させたかった動画で,ねらい通りに他の動画に比べて明らかに視聴回数が多くなった。このような工夫で,動画の重要部分を複数回視聴させることに成功し,学生は,この工夫した動画を視聴しながらレポートを作成することで,しっかりとしたレポートの構成で作成されるように改善が見られた。以上のような工夫により,「動画の利活用向上」に結びつけることができた。6.1 評価図4に示す項目をもとに,学生から提出されたレポートを100点満点で採点する。-12-6.2 効果学生がレポートに記載した主な感想を以下に記す。(1)対面授業受講学生①映像ではなく実際に目で見て破壊の様子を観察できたのがよかった。また,実験の計算時に先生に確認してもらいながらできたので安心感があった。②破面などに注目することで,き裂の進展やそれによる材料への影響について深く知ることができた。③破壊するとき音が大きいと予測したが,あまり音が出なかった。対面授業により,計算した値を先生にチェックしてもらい,実験結果に影響がなかった。④対面授業は非常に円滑かつわかりやすい内容となっており,自身としては非常に満足した。あらかじめ,動画を閲覧したことにより,教科書を単純に読むよりも理解度を高めることができた。金属疲労における音の違いにも焦点をあてて知ってみたいと感じた。改めて,とても充実した実験だった。⑤対面での実験で実際に試験片の疲労き裂が進展していく様子を見ることができたので,疲労き裂の理解が深まった。対面では概算値が正しく取れたか確認できるが,オンデマンドで受ける学生は近似直線を書いて概算値を求める段階でかなりずれが出てしまい難しいと思った。(2)オンデマンド型授業受講学生①今回はオンデマンドだったため,大変だったがある程度は理解できたと思う。この実験は実際に実験室で行いたかった。②実際に実験できずオンデマンドになってしまったのはとても残念だが,先生の説明動画がわかりやすかったため,対面授業をやるより記憶に残った。③さまざまある材料の破壊種類の内,本実験を通じて疲労破壊についての理解をより深めることができて大変よかった。④実際に目で見ることによって,多少のき裂の違いや形の変化などを感じ取れるので,実際に実験をやりたかった分野であった。しかし,オンデマンド動画で繰り返し閲覧することによって,動画で得られる知識は全て自分の中に浸透させることが6.評価,効果,実績,成果

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