2022年1号「技能と技術」誌307号
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図9 移動顕微鏡測定値と試験片き裂全長の関係図10 各Cycleの試験片き裂拡大写真の活用-11-5.2.2 4.1実験編(結果):各式の求め方き裂進展速度da/dN~Nに関係する値は,移動顕微鏡の測定値(図9左)を使って,各式(2a,da/dN,ΔK)により求める。レポート採点の分析結果から,計算過程が未記入,計算結果に間違えなどがあり,授業で説明した内容がうまく伝わっていなかった。その主な原因を調査した結果,「移動顕微鏡測定値」が「試験片き裂全長」とどのような関係になっているのかが理解できていないため,計算が正しく求められていないことがわかった。そこで,まずは,図9(右)のように「移動顕微鏡測定値」と「試験片き裂全長」の関係性を模式図にして,目で見て「測定方法」が理解できるように工夫した。そして,各式を使った求め方は,具体的な事例を加えた資料を作成し,それをもとに動画を制作した。特に動画のこの部分を繰り返し視聴すれば理解が深まる。それを誘導するために動画を必要に応じて短く分割し,アクセスしやすいよう配置を工夫してWebページにレイアウトした。ねらい通り学生はその動画を繰り返し視聴しながら学習を進めることで理解が深まり,各式を使った計算が正しく求められるように改善が見られた。すなわち,繰り返し視聴できるオンライン動画を繰り返し視聴させるための,工夫も盛り込んだわけである。5.2.3 4.1実験編(結果):き裂進展状況の考察学生は500 Cycleなど決められた各Cycleの繰り返し数Nの疲労き裂進展状況の考察を行い,レポートに提出する。2020年度レポート採点の分析結果から,疲労き裂進展状況の考察がわかりにくく,レポートの考察が未記入の学生がいた。対面授業では,その場に居るにもかかわらず,現象を看過する学生が多いように思われる。そこで,映像教育というハンデを逆手にとって,動画から得た情報を使って,看過されがちな各Cycleの試験片のき裂を拡大した写真12枚を一覧(図10)にまとめ,学生に注意喚起することで,何を見るべきなのか気づくよう誘導した。これらの教育的な工夫によって,学生の考察欄に改善が見られた。5.2.4 5.解析対面授業で報告した授業(5.1.2「4.結果の整理」直接指導方法の工夫)と同じ内容で実施する。グラフ作成は,具体的なグラフ作成方法の手順となる説明資料を作成した。次に,Parisの式と最小二乗法の式を用いた導出の仕方は,図5のPowerPointの説明資料をもとに動画を制作し,学生はその動画を使って学習を進めることで,対面授業と同様の個別指導の効果が得られた。5.2.5 6.レポート作成編学生は,疲労き裂実験で学習した内容をレポートに作成し,授業終了後の2週間以内に提出する。対面授業では,授業の最後の10分ほどの時間を使って「レポート作成にあたっての諸注意」(レポート作成に必要な要件:目的や実施内容,実験結果と解析,考察など)2ページの資料を学生に配布し,その資料をもとに注視する点を説明する。それにもかかわらず,レポート採点の分析結果から,レポート作成

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