2022年1号「技能と技術」誌307号
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図5 「4.結果の整理」の説明資料図6 き裂進展状況のモニタリング方法図8 マルチビューの活用(写真4点セット)図7 複数計器の同時観測-10-トにしたマルチビューを多用し,まるで多くの計器が狭いところに詰め込まれたコクピットを模すことで,それが普通大好きな機械系学生のツボを刺激する演出を考案した。その結果,2020年度のオンライン授業受講学生のレポートと比較すると,疲労き裂進展状況の考察に充実が見られるようになった。学生は,全ての計器および現象を同時に把握し,なおかつパイロット気分を味わうことで,楽しみながら授業に集中していたのではないかと推測できる。5.2 オンデマンド型授業動画は「繰り返し見られる」強みがあり,学生は繰り返し動画を視聴することで理解を深めることが可能である。ただし,学生に繰り返し見てもらえなければその強みは発揮されない。そこで,オンラインの特徴を生かす工夫,例えば,①複数の計器を一画面にまとめて見せる「マルチビューの活用」により現象の把握を助ける。②動画の重要部分を繰り返し視聴させる。などにより,学習の理解を深めさせ,対面授業と遜色のない教育効果を確保する。その具体的な事例を表1のコンテンツの中から下記に紹介する。5.2.1 3.実験編(測定):複数計器の同時観測き裂進展状況のモニタリング方法は,変動負荷装置を用いて,図6のように学生たち数人がかりでさまざまな場所を同時に見なければならない。具体的には図7のように,①モニター画面でサイクル数を,同時に②試験片の真ん中のき裂の様子を,そして,③顕微鏡をのぞいてき裂先端を観測,さらに④目盛りでき裂進展量を計測の順番で,同じことを12回ほど繰り返しながら,移動顕微鏡を使って測定する。このように多くの計器を同時に見なければならず,一人でこの一連の作業を行うのは困難で,また,それの繰り返しのモニタリングで飽きてしまう。このような課題を改善しようとしたら,偶然,コロナ禍になり,オンライン授業で実験の授業を行うという制約条件下で,この課題を改善する必要性に迫られた。そこで,図8のように4点の写真をセッ

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