2022年1号「技能と技術」誌307号
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図4 レポート採点項目別構成比以下に,それぞれの授業の主なポイントを述べる。4.3 対面授業学生は疲労き裂実験の理論に関する講義を受けていないので,今までの対面授業では,基礎的な内容を加えた説明に時間がかかっていた。そこで,学生が授業前に学習可能な説明は,オンデマンド型授業で使用する「はじめに/理論編」の動画(トータル約46分)を用いて,対面授業の受講前までに「反転授業」による事前学習を行う。教員は,その反転授業で確保された対面授業の時間を使って,特に学習の重要な箇所,例えば,実験結果の解析,考察など個々の学習レベルに応じて,きめ細かい直接指導を行い,学習効果を高める。4.4 オンデマンド型授業①学生は,基本的に授業時間中に自宅のPC,あるいはスマートフォンなどから「2021年度版ICT教材コンテンツ」の動画を使って学習する。オンデマンド型授業のために,授業時間外でも各自が必要なときに何回でもアクセスできる。②授業時間中に学生から質問があった場合の対応ができないので,学生からの質問は,WebClassの掲示板に書き込ませて対応することで,学生全員にその情報が共有化できる。③オンデマンド型授業では,オンラインによる工学実験の強みを生かし,例えば,計器類を狭い画面に効果的に配置しコクピットを模すことで学生の心をつかむ工夫をし,動画の長さやアクセスページの工夫により重要部分を繰り返し視聴させる工夫をするなど,オンラインの弱点を逆手にとって対面授業と遜色ない教育効果を確保する。5.1 対面授業5.1.1 反転授業の活用方法学生は,疲労き裂実験で学習した内容をレポートに作成し,授業終了後の2週間以内にWebClassの提出先「教材」に提出する。そのレポートは,図4-9-に示す主な項目をもとに100点満点で採点を行う。「4. 結果の整理」は,レポート採点の30%を占め,全体の構成比率が一番高く,また,グラフ作成,データ解析などを行い,極めて重要な項目であることから,直接指導の強化項目として進めることにした。今までの対面授業では,授業時間の関係で「4. 結果の整理」は個別指導する時間が不足していたので,反転授業で確保された約46分の時間を使って,直接指導の充実を図り,学習効果を高める。5.1.2 「4. 結果の整理」直接指導方法の工夫具体的な授業の内容は,実験結果から得られた各値を使って,き裂の進展曲線da/dN~Nに関係するグラフ作成,データ解析を行い,da/dNとΔKの関係を両対数グラフに作成し,図上の係数Aとmの値をParisの式を使って概算値を求める。そして,最小二乗法の式を使って係数Aとmを求め,それぞれ概算と理論が一致したかを確かめる。2020年度レポート採点の分析結果から,専門的な理解が不足しているため,概算と理論が未記入のレポートが存在していた。そこで,Parisの式など専門的なところの理解や,でてきた結果の正しい解釈など,概算と理論が比較できる図5のPowerPointの資料を用いて,個々の学習レベルに応じてきめ細かい直接指導を行い,専門的な理解を深めさせた。その結果,2021年度レポートの採点結果から,単純な計算間違えはあったものの,概算と理論の学習内容がレポートに記載されるように改善が見られた。5.具体的な内容・実施方法

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