2021年4号「技能と技術」誌306号
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図12 大会当日の様子図13 引き継いだ学生達(当校ロビー)2020年開催予定として,カウントダウンボードからウエルカムボードの制作まで携わった学生だが,新型コロナウイルス感染拡大により大会が1年延期となり,会場での展示を見ることなく卒業を迎えることになる。そこで,令和2年度入学生の1年後輩にあたる学生が,作品を引き継ぐこととなった。大会4日前の2021年5月26日,島根県立自然館サヒメルに展示していた作品をいったん解体し,そのまま大会会場へ運び入れ,展示場所に設置した。自分たちの作品ではなかったが,先輩が制作した作品を引き継ぎ,会場に設置し完成させた。(図12)大会では,参加者が5分の1に制限されたが,多くの方がウエルカムボードの前で記念写真を撮る姿を見ることができた。その光景を携わった学生達が見ることができなかったことは残念である。大会後は,会場でウエルカムボードを見た島根県江津市の関係者から声をかけていただき、6月から10月までのおよそ4カ月間,江津市庁舎ロビーに展示された。それにより,地元の方にも長期間見ていただく機会を得ることができた。現在は,当校のロビーに展示しており,オープンキャンパスや学校見学等で,ウエルカムボードとし-5-て記念撮影も行い,当校のデザイン力と技術力が見られる作品として健在である。(図13)1年で完了する予定であったが,2年以上に渡り取り組み,後輩が引き継ぐことになった。大会参加者は削減され,天皇陛下のご臨席も中止となりオンラインでのご臨席となってしまった。しかし,作品を展示する期間が長くなり,見ていただく機会が増えたことは,不幸中の幸いと思うことにする。この作品を通じて,デザイン力と他の学校にはない技術力をアピールすることができた。制作を行った学生が,当日の様子を見ることなく卒業をむかえたことは残念であったが,引き継いだ学生にとっては良い刺激となった。対外的に出す作品に責任を持って取り組むことは,良いものを完成させる向上心を教えることにつながると実感した事例である。それが技術の向上にもつながり,職業訓練としても必要であると確信する。最後に,新型コロナウイルス感染拡大により始まったウッドショックが,島根県の目指す「伐って,使って,植えて,育てる」循環型林業の後押しとなり,日本の林業が持続可能な産業として復権されることを願っている。それにこの取り組みが,少しでも貢献することができていれば幸いである。https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/index.htmlhttps://www.syokujusai-shimane2020.jp/<参考文献>1)第3次産業活動指数(経済産業省)2)第71回全国植樹祭しまね20216.大会当日からその後7.おわりに

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