2021年4号「技能と技術」誌306号
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図1 SDGsの目標図2 林業体験の様子図3 デザイン案当校の住居環境科では,毎秋1年生を対象として林業体験を実施している。建築に携わる学生として素材となる木材がどの様に育てられ,伐採されて建材として使用されるのか,講義だけでなく現地を見て知る必要があると考えている。技能や技術だけでなく,地域や世界の状況,ものを作ることの世間とのつながりを知ることは,SDGsの理念を理解することにもなる。SDGsの目標にひとつには,「陸の豊かさを守ろう」がある。そして,「つくる責任 つかう責任」があるようにものづくりに携わる学生にとって森を知ることは必要不可欠である。更に,地域素材を知ることは,「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」や「住み続けられるまちづくりを」にも関係してくる。数年前から島根県農林振興センターの協力により島根県西部の山中で間伐体験や主伐現場の見学,それから製材所や合板工場を巡り,1日をかけて木材の伐採から建材になるまでを体験している。(図2)当校の学生の中には,現在まで2名の学生がこの経験を通じて林業を知り,就職している。また,この活動は,地域に知られることになり,近年では,地元の工業高校の建築科とも共同で実施している。この活動により,林業を知る学校であり,各種競技大会においても結果を残しているものづくりの技術をかわれ,今回の共同研究に結びついている。-2-カウントダウンボードの制作にあたり,令和元年度当時1年生であった学生に対して,授業の一環として取り組むことにした。理由としては,全国植樹祭開催予定の2020年には2年生となり,大会に向け継続的に取り組むことができるからであった。4.1 デザインワーク大会テーマである「木でつなごう 人と森との 縁(えにし)の輪」をコンセプトに学生21名におのおのデザイン案を考えさせることにした。また,カウントダウンボードは,さまざまな駅やショッピングセンター,イベント会場に持っていくため車に詰め込める大きさに分解され,移動可能である条件が出された。各学生のアイデアを評価し,各デザイン案に対してブラッシュアップをはかり改善させた。最終的にはデザイン案の模型を制作し,学生自身の投票によりデザイン案を決定した。(図3,4)投票により上位だった作品の特徴が「輪」をモチーフにしたもの,人の営みや森を模したもの,カウントダウンとして砂時計をモチーフしたものがあった。砂時計においては,大会が開催される島根県大田市に世界最大の砂時計があることも考えられていた。それら「輪」「人の営みと森」「砂時計」を融合させ,組み立て式のカウントダウンボードのデザインが誕生した。また,素材としては,島根県が地産材のヒノキとスギの活用を目指し開発した3層クロスパネルを使用している。この素材に関しては,平成26年から3年間にわたり総合制作実習課題として,商品開発を行っており,平成26年度の総合制作実習成果物表彰では,優秀賞を受賞している。(図5)3.林業との関係4.カウントダウンボード

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