2021年3号「技能と技術」誌305号
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図1 導入期の訓練の1日の流れ-5-訓練を通じて自身の特性について認識を深め,把握された課題に対する対応法を検討し,習得することを目標にしています。そのアセスメント期間の終わりに,特定された対応法をさらに定着させるための追加の訓練が必要かどうか検討を行い,必要がある場合は1週間の定着訓練を行います。この導入期の訓練は,全ての訓練生を対象に実施しており,環境や身体的側面,精神的側面,社会的側面,職業的側面等,多面的に捉えてその要因を検討し,対応を図っています。2.3. 導入期の訓練の1日の流れ訓練生の特性を把握し対応法を検討できるよう,1日の訓練の流れは,図1のサイクルで行います。図の内側は訓練生の行動,外側は指導員の働きかけとなっています。例えば,1サイクル目で対応法の案を決定し,2サイクル目以降は,実際にその対応法を試行し,効果的な方法を特定し定着を図ります。2.4. 教材訓練生の特性が把握しやすいよう,アセスメントのための専用の教材を作成しています。2.4.1. 教材のポイント導入期の訓練で使用する教材は,身体的側面や精神的側面の特性把握(特に職務遂行上の課題の把握)と対応法の習得に焦点を当てた課題となってい2.1. 導入期の訓練の目的訓練生は,一人ひとり,成育歴,学歴,職歴,障害の態様を含む特性が異なり,訓練や職業等の場面が変わったり,そこでの活動内容の変化に応じて,その影響の現れ方は異なります。そのため,障害名や障害の傾向にはとらわれず,訓練生の特性が訓練や職業場面への参加や,そこでの活動にどのように影響するかを見極めることが重要となります。また,訓練生活は,それまでの日常生活とは異なり,訓練生が思っている以上にストレスがかかり,疲労も蓄積します。そこで,訓練生が訓練期間を通して安定して訓練を受講し,円滑に技能・知識を習得できるよう,導入期の訓練において,次の取り組みを行っています。①訓練環境への適応の促進入校当初は緩やかに訓練を進め,環境の変化が苦手な訓練生に対して,訓練環境への適応の促進を図ります。また,その環境の変化や訓練の負荷等からくるストレスや疲労について把握し,そのマネジメント方法を検討します。②特性の把握と対応法の習得技能訓練を通じて,得意なことやできること,苦手なことやできにくいことを早期に発見し,そのできにくいことの要因となっている特性を把握し,できることを活用して,どのように対応するとできるようになるか,また,自身の対応では解決できない場合に,どのように環境調整を行うとできるようになるのか等を検討し,対応法を身に着けることを目的としています。それらは,訓練生の能力を最大限発揮するための合理的な配慮であるため,早期に特定,習得することで,その後の技能習得や就業が円滑に進みます。2.2. 期間令和3年度より,導入期の訓練は入校直後,最長3週間を設定しています。初めの2週間は,アセスメント期間として,技能2.導入期の訓練

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