2021年3号「技能と技術」誌305号
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表1 特別支援障害者の要件国立職業リハビリテーションセンター 高橋 靖明・犬塚 康子・後藤 裕貴国立職業リハビリテーションセンター(以下「当センター」という。)は,昭和54年に労働省(現厚生労働省)が設置し,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「当機構」という。)が運営をしています。当センターは,広範囲の地域にわたり,系統的に職業リハビリテーション(障害者に対して職業指導,職業訓練,職業紹介その他の措置を講じ,その職業生活における自立を図ること)の措置を必要とする障害者に関して,国立障害者リハビリテーションセンターとの密接な連携の下に,職業評価,職業指導および職業訓練を系統的に行い,障害者の職業的自立を促進し,その職業の安定等を図ることを目的に設置されています。開設当初は,身体障害者を対象に職業リハビリテーションサービスを提供していましたが,平成10年以降,その対象を,知的障害者,発達障害者,精神障害者,高次脳機能障害者と拡大していき,現在では難病等の方も含む,障害者の雇用の促進等に関する法律に規定される全ての障害者が対象となっています。その中でも,当機構が運営する障害者職業能力開発校においては,表1の3要件に該当する,精神障害者や発達障害者,高次脳機能障害者,重度視覚障害者,両上肢障害者等の職業訓練上特別な支援を要する障害者(以下「特別支援障害者」という。)を積極的に受け入れており,定員の60%以上を占めています。-4-そこで,当センターでは,特別支援障害者を含む全ての訓練生個々の特性に応じた職業訓練を提供するために,次の特徴ある訓練・支援を行っています。①年間を通じて10回の入所機会を設定②一人ひとりの特性に合わせた個別カリキュラムによる個別訓練③導入期の訓練による対応法(合理的な配慮)の検討・整理④職業訓練と並行して行う丁寧な適応支援⑤広域障害者職業センターが併設され職業訓練指導員以外の専門職員との連携による対応本稿では,上記特徴のうち,訓練環境への適応を促進し対応法(合理的な配慮)を検討するための導入期の訓練,個別カリキュラムによる個別訓練を実現するためのモジュール訓練方式による職業訓練,技能訓練と合わせて行う職業への適応力を向上させるための支援について紹介します。1.はじめに訓練生個々の特性に応じた職業訓練について

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