2021年3号「技能と技術」誌305号
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表 訓練科・コース一覧-2-練希望者は,書類により一次選考の可否判断をしたのち,実際に当センターに来所し2日間の二次選考を実施する。ここでは面接や各種検査・作業体験に加え入寮希望者には寮の宿泊体験も行っている。この一次・二次選考は,学力と就職意欲に加え,集団生活および寮生活に適応可能か,体調面等において職業訓練の受講に支障はないかを確認するために実施しているものである。入所後は,さらに約二カ月間の導入訓練期間というものがある。ここでは主にMWS(ムース)という評価ツールを使用し,OA作業・事務作業・実務作業に関する作業能力と,ストレス・疲労度(集中力が切れるタイミング)などの障害特性上の課題等を把握し,訓練期間中に取り組むべき課題への対処法を明らかにしていく。これらのプロセスを経て訓練生一人ひとりに対する障害特性を踏まえた支援内容を決定し,訓練期間中の道しるべとなる「職業リハビリテーション計画」にまとめられる。この計画内容をもとに職業訓練の内容および指導方法を検討し,個別訓練カリキュラムを作成していく。なお,職業リハビリテーション計画は,本人に説明し同意を得るプロセスを経た後に,ようやく訓練コースが決定することになる。(2)個々の訓練生に応じた訓練カリキュラム一般校の多くは,固定カリキュラムによる集合型訓練を行っていると思うが,吉備職リハでは,上述した個人ごとの職業リハビリテーション計画に基づき訓練カリキュラムを設定することとなるため,70名の訓練生がいれば70種類のカリキュラムができる。そのため,集合型訓練ではなく個別型訓練となり,訓練中は自分の体調と相談しながら,自己のペースで訓練を進めていく。(3)支援体制が充実【知的障害・三障害の方】訓練期間中は,技能面での支援はもちろんであるが,精神面でのケアなど生活面での支援も必要となるため,訓練生一人一人に担当の技能指導員,職業適応支援員((4)の支援を主に担当する者)および,就職指導担当員が割り当てられ,訓練生が自身の訓このの人ことば向けの訓練科については,一定の条件を満たせば三障害の方が移行できるような仕組みもある。定員は70名で,西日本を中心に全国からの訓練生を受け入れているため寮を完備している。また,寮は障害種別による入寮制限はなく,自立した生活が送れる方で,集団生活が可能な方であれば入寮を可能としている。過去5年間の定員充足の状況としては,令和2年度を除けば95%~102.9%と好調であった。ただし,令和2年度は,新型コロナウイルスの影響もあり68.6%となった。入所者の最近の傾向としては,身体障害の方の入所が減少傾向である一方で,精神障害や発達障害の方の入所が増加傾向にある。就職率については,76.6%~90.1%となっており,ほとんどの訓練生が地元に戻って就職している。就職率の算定にあたっては,ポリテクセンターとは異なり,自己都合による中途退所者が分母から除外されない仕組みになっており,自己都合退所をさせないための支援も大切な業務の1つになっている。(1)入所から訓練科・コース決定までのプロセスが丁寧【知的障害・三障害の方】ポリテクセンターでは,ハローワークでの職業相談を受け,ポリテクセンターで開催する施設見学や訓練体験を経て,入所申し込みに至る。よって,申し込み時には既に希望訓練科が決まっており,そのうえで,書類審査や面接,筆記試験等を経て合格者が決定され,入所日から合格した科での訓練が開始される。一方,吉備職リハでの身体障害者以外の訓3.吉備職リハならではの取り組み

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