2021年3号「技能と技術」誌305号
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図4 受講生を支援する専門家の配置状況図5 特配受講生に対して施設で実施している取り組み等・本人、保護者等からの申告・精神保健福祉士等の相談・カウンセリング・コミュニケーションが取れない(そのためクラスでも孤立等)・落ち着きがない(じっとしていられない、人の話を聞くことができない等)・感情の起伏(喜怒哀楽)や抑うつが激しい、情緒不安定・場の空気が読めない、その場の雰囲気を踏まえた行動ができない、暗黙のルールを理解していない・生活指導において、他人への迷惑行為を自身が感じていない・訓練の遅刻や欠席が多い(長期欠席、事前事後の連絡なし)・期日や時間を守ることができない、忘れ物や紛失が多い・断りなく訓練中に教室を抜け出す・全体説明の途中であっても、質問がやまず繰り返す・居眠りが多い、居眠りの自覚がない・授業に集中できない・板書および指導員の言葉を全てノートに取らないと不安だが、書いた内容を理解できない。書いた場所を探せない・実習の作業速度が極端に遅い、作業を始めるまでに異常なほどの時間を要する・指示した作業や作業手順を見せてもその通りに行わない、自分の判断で違う作業を行う・同じ説明を繰り返し行っても理解できない・危険予知ができない、夢中になると安全面に配慮した作業ができなくなる・理解力が乏しい・同時に2つまたは複数の作業を行うことができない・指示通りの作業はできるが、考えて取り組む作業ができない・板書を整理してノートにまとめることができない・記憶が残らず、その日に理解していた/できていた内容が、次の日や週明け等一定時間がたつと、忘れてできなくなってしまう・何度も同じ注意を受ける(注意された内容が理解できない)・立体的空間把握ができない(作業方向や機械操作説明における左右の理解、水平垂直がまったくとれない、平面図と現物の関連性のある線が一致しない等)-25-受講生を支援する専門家の配置状況については,図4の回答となったが,不足状況については,精神保健福祉士と職場定着支援という回答が多く,現在,十分に配置されているとは言えない状況であった。調査②については,令和2年10月に,一般校168施設に対してアンケート調査をおこない,回答率は94.7%であった。主な結果としては,86%(138施設)で特配受講生について施設として把握しており,図5のように多くの施設で具体的な対応や配慮を行っているという回答であった。また,特配受講生について,近年(ここ4~5年)増加傾向にあるかという設問については,70%以上の施設が「増加傾向にある」という回答であった。特配受講生についてその行動特性を把握した「きっかけ」「場面」等については,さまざまな回答をいただいた。以下に一例を示す。一般校では,指導員や就職支援員等に障害特性の知識や障害者対応のスキルがないため,特配受講生への対応に苦慮しているとともに大きな負担になっており,また,受講生をサポートするための精神保健福祉士等の専門家についても,配置されていないか,配置されていても巡回の頻度が低く,研修の充実や精神保健福祉士等の専門家の配置及び充実が多くの施設で望まれていることが明らかになった。3.1 指導員の人材育成について今回の調査により,障害者訓練を担当することになった指導員の多くは,障害特性に関する知識や障害者への対応スキルを持たない状態で配属され,試行錯誤を重ねながら訓練等への対応力を高めている実態が明らかとなった。また,一般校においても特配受講生の増加が課題となっており,指導員や就職支援員等は障害特性の3.まとめ

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