2021年3号「技能と技術」誌305号
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図1 保有者数が多い免許職種図2 障害者訓練を担当する指導員の採用経路図3 指導員に訓練業務以外で期待する役割① 障害者訓練を担当する指導員についての現状把握と分析② 一般校の指導員の特配受講生への対応に係る現状把握と分析③ 障害者訓練を担当する指導員に必要とされる指導員免許等について④ 障害者訓練を担当する指導員の人材育成について2.2 アンケートおよびヒアリング調査結果①については,令和元年10月に,障害者校および障害者を対象とした訓練コースを実施している一般校49施設にアンケート調査を行った。なお,回収率は100%であった。また,直接現場の意見をうかがいたく,障害者校3施設,一般校1施設へヒアリング調査を行った。主な結果は以下のとおりである。障害者訓練を担当する指導員が保有する免許職種(図1)は「情報処理科」「事務科」の事務系コースの指導に係る職種が多い回答であったが,「事務科」の指導員免許については,職業訓練指導員試験が指導方法の学科試験以外は実施されていないため,高等学校教員免許所持者以外が取得するのは非常に困難な状況となっている。また,障害者訓練を担当するために必要な障害者の特性を理解し,工学的な支援を行うことができる知識や技能をあわせ持つ免許職種である「福祉工学科」の指導員免許についても,同様の理由で取得が非常に困難な状況になっている。なお,障害者訓練の多くが該当する普通職業訓-24-練短期課程では,訓練を担当する指導員は指導員免許保持者と同等以上の能力があることを求められるが,指導員免許の保有自体は義務付けられていないため,訓練科によっては指導員免許保有者がいないという回答も一般校にみられた。障害者訓練を担当する指導員の採用経路(図2)は,「一般校の職業訓練指導員からの異動」が最も多い回答であった。また,「障害者訓練担当指導員として新規採用」と「高等学校や民間企業等から中途採用」を合わせると「一般校の職業訓練指導員から異動」とほぼ同数であることから,一般校の指導員から異動で障害者訓練を担当する経路と障害者訓練担当指導員として新規または中途で採用される経路の,大きく2つの経路で採用されていることがうかがえる。訓練指導以外に障害者訓練を担当する指導員に期待する役割(図3)については,主に受講生の精神面と就職面のサポートを期待する回答が多かったが,精神面のサポートについては,指導員ではなく専門家に任せるべきという回答も複数みられた。

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