2021年3号「技能と技術」誌305号
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⃝ より多くの対応事例を知りたい (42)⃝ 障害の種別ごとの対応について知りたい(特に精神障害) (33)⃝ 演習をより充実させてほしい (18)⃝ 研修期間(時間)を見直してほしい(大多数が増加を希望) (18)⃝ 映像教材等があればより理解を深めることができる (14)⃝ テキストの構成を見直してほしい (14)⃝ 組織的な対応(体制づくり,ケース会議等)について知りたい (7)⃝ 就職支援に係る内容について知りたい (6)⃝ 研修者間で実際の事例について情報交換をしたい (5)⃝ ポリテクセンター等,短期間(6カ月)の訓練での対応が知りたい (4)⃝ 家族との関わり方について知りたい (4)⃝ 行動特性の強みや弱みを考慮した具体的な支援方法について知りたい (2)⃝ その他 (47)研修に関する改善要望を除くと,障害者向けの職業訓練コースの指導員のように日常的に障害のある受講生と接していないため,幅広い範囲で対応事例を知りたいという要望が多いことがわかる。すなわち,経験が不足してても対応できるような支援ツールへの潜在的なニーズがある。(2)機構全施設での取り組み状況の調査次に,機構の全ての職業能力開発施設(ポリテクセンター63施設,ポリテクカレッジ24施設,職業能力開発総合大学校)に対して取り組み等の状況に関するアンケート調査を実施した。また,効果的な取り組みを実施している職業能力開発施設7施設に対してヒアリングを行った。その結果から「専門的なものでなく,何も知らない人が行動するためのマニュアルが必要」「特別な配慮が必要な訓練受講生の相談室へのリファーや専門機関の勧め方に悩むことが多く,リファーの勧め方の手引き,想定問答等があれば参考にしたい」などの課題・意見を把握した。-20-(3)Q&A形式と紙面構成これまでの調査から,支援・対応で困ったときや,他機関へ支援を要請したいときなどに,最初に手に取る資料として活用してもらうツールを開発することになった。そこで,機構には障害者雇用について初めて取り組む事業主が活用できるツールとして『はじめからわかる障害者雇用 事業主のためのQ&A集』9)がすでにあり,このQ&A形式と紙面構成を参考にして開発することにした。(4)初版の配布と一般公開に向けた修正初版の完成後,平成31年3月に,機構の全ての職業訓練指導員と各職業能力開発施設に配布した。そして,一般公開に向けた改訂のためにアンケート調査を実施することにした。アンケート対象者は,初版を配布先の2087人で,回答者数は1,112人(回収率53%)であった。また,幾つかの都道府県に機構内限定のデータを省いた初版を提供し,都道府県で追加してほしい要望を取りまとめた。この結果を踏まえて修正することにより,支援・対応Q&Aの前半にあるQ&A形式部分は完成した。3.2. 問題集部分の開発支援・対応Q&Aの後半の問題集部分の開発は,平成30年度の検討会にて次のように行われた。(1)支援の取り組み内容の検討検討会にて,3.1.(1)にある改善要望の分析を踏まえながら新たな取り組み内容の検討を行った。その結果,さまざまな支援ツールを使いこなすためにはまず配慮受講生との良好な人間関係の構築が先であることが確認された。配慮受講生の事例で特に多いのが,コミュニケーションの課題である。コミュニケーションの課題には,会話上の意思の疎通の難しさと,集団行動での立ち振る舞いといったソーシャルスキル上の課題の2種類があるが,意思疎通の難しさに着目した。

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