2021年3号「技能と技術」誌305号
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図3:後半の会話のポイントの問題集後半の会話のポイントは,図3のように問題集の形式になっている。配慮受講生と会話するときに,一般的な訓練受講生とは異なる反応をすることがあるので,⃝  空気や前後関係を読み取らずに字句どおり解釈する問題⃝ 曖昧な基準に関する問題⃝ 指示の解釈に関する問題⃝ 背景や理由の発見に関する問題⃝ 指示代名詞や指差しに関する問題⃝ その他の問題の6つの分類について20のケースと54の問題が掲載されている。この問題集の特徴は,会話の仮想事例は,機構の全ての職業能力開発施設にアンケート調査した結果を取りまとめて開発していることである。すなわち,似たことが実際に訓練で起きた仮想事例である。そして,解説には解答だけなく,どうして配慮受講生が勘違いや戸惑いをしたのかの理由を全問題で説明しているのが大きな特徴である。-19-支援・対応Q&Aは,機構のWebサイトhttps://www.jeed.go.jp/js/station/qa.htmlでPDFファイルが公開されている。ところで,奥付には第二版となっている。また,令和元年版と呼ばれることもある。なぜだろうか?これは,平成30年度に,機構の職員用の支援・対応ツールとして検討会が開発した初版と『事例でわかる!伝わる話し方 ~訓練受講者との会話のケースブック~』8)があるためである。一般公開する際に,2つを合冊し,さらに機構内限りのデータ等を省くとともに,各施設の反応等を踏まえながら,都道府県からの要望を取り入れて,開発した経緯があり,第二版となっている。したがって,前半のQ&A形式部分と,後半の問題集部分は最初は別々に開発されていたので,開発の流れが異なる。そこで,Q&A形式部分と問題集部分とで分けて,どのように開発していったのかを紹介する。3.1. Q&A形式部分の開発支援・対応Q&Aの前半のQ&A形式部分の開発は,平成30年度の検討会にて次のように行われた。(1)研修アンケートでの改善要望の分析最初に,平成27~29年度にかけて,職業能力開発総合大学校で実施されてきた配慮受講生の支援・対応に関する研修のアンケート結果を分析した。調査対象となったのは56コース(レディメイド型研修26,オーダーメイド型30)である。アンケート回答数は827(ポリテクセンター所属167,ポリテクカレッジ所属57,都道府県所属323,所属不明280)であった。調査対象の研修コースでは,機構で開発されたノウハウやツールを多数紹介している。アンケートでの自由記述欄に記入されている改善要望を分析した結果(数値は回答数)は次のようになった。3.支援・対応Q&Aの開発

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