2021年3号「技能と技術」誌305号
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職活動につなげることができる。特例子会社は,就職した後も会社内に支援者が配置されてることや,休憩や通院,勤務時間等の特別な配慮をしてくれることも多く,障害者が多数働く環境で安心して勤め続けることが期待できる。都内には特例子会社が多数存在し,就職先として選択できることも当校に通うメリットといえる。生徒は無事就職が決まると,当校職員の支援の下,入社への準備を始める。入社後は当校の専任の職場定着支援員が中心となり定着支援を実施する。当初は当校職員とともに生徒が登録する就労支援機関のスタッフと一緒に企業に出向いている。そして,おおむね1年後には地元の就労支援機関に定着支援のバトンを渡す。定着支援時の面談で修了生から聞く悩みや不安は以下のとおりである。・職場に自分の障害や症状について相談できる人がいない。・障害の配慮について,伝え方がわからない。・職場の環境は良いが,どうしても頑張りすぎて疲れている。・短時間勤務から始めたが,慣れてきたのでもう少し働く時間を長くしたい。どのように上司に言ったらよいか。・職場から業務内容を増やしていく提案をされたが,まだ自信がない。定着支援時に修了生からこのような相談を受けたときには,企業と丁寧に時間をかけて解決を図る。また,企業からは次のように言われることがある。・勤怠を安定させて,長く働いてほしい。・訓練で培った技能を生かして戦力となってほしい。・障害者採用した社員が,最近調子が悪そうに見えるが,悩み事があるのか心配だ。-16-安定して長く働き続けることは企業,当校職員等,支援する者すべての願いである。修了生が安心して働けるよう,入社後の定着支援は非常に重要な責務であり,職員は在校生支援と同じくらい注力し日々業務にあたっている。このような時間をかけた丁寧な定着支援が功を奏し,「令和2年度の修了生実態調査」の結果,約9割が1年後も働き続け,3年後には約7割が最初の勤務先で働き続け,約2割が最初の勤務先を退職しているが,再就職し働き続けている。6月に厚生労働省東京労働局により発表された「令和2年度における障害者の職業紹介状況等」によると,コロナ禍によりハローワークを通じた障害者の就職件数は5,624件で対前年度比24.7%減と大幅に減少する厳しい結果となった。当校の生徒の就職率も,前年度を約10ポイント下回る結果となったことは前述のとおりである。東京障害者職業能力開発校では,このような厳しい状況にあっても,生徒一人ひとりにとってふさわしい進路に導くため,「チーム東障校」として職員一丸となり,今日も生徒の就職支援に懸命に取り組んでいる。7.定着支援8.おわりに

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