2021年2号「技能と技術」誌304号
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図5 デジタル温度計の課題イメージ図6 Tinkercadで作成した実習データの操作画面表3 部品リストテムで学んだ内容の「総まとめ」となる課題になる。3.4 実習機器・機材のコスト学習意欲の高い訓練生にとって,自身でそろえられる学習環境・開発環境は,学習をより促進する重要な要素の1つであることから,「離職中の訓練生でも購入可能な安価で扱いやすい機材」といった観点からも実習機材の選定を行っている。本教材のメインは,Arduino UNOマイコンボードとマルチファンクションシールドであり,この2つがそろえば実習内容の6~7割程度を自習が可能である。この2つは,大手通販サイトなどでも購入が可能であり,互換品などの安価な製品を選定すれば1,500円程度でそろえることが可能である。また,ボードとシールドの接続も専用コネクタにスタッキングさせるだけで済み,価格と組み立ての容易さの2つの観点から,訓練生の自己学習の敷居を下げるとともに他の職業訓練の現場でも新たに取り入れやすいものとした。参考までに訓練生20名,講師1名の計21セット分の部品リスト(表3)を示す。部品リストは,熊本センターで使用した機材を元に作成したものであるが,既に整備されている機材を流用している機材も複数ある為,若干割高な構成となっている。新たに最小構成でそろえるならば,Arduino UNOをより安価な互換品で代用,AVRISPの排除,より小さなブレッドボードの選定。といったコスト削減が考えられ,結果1名分の単価あたり5,000円以下に抑えることも可能である。-4-3.5 オンライン教材の整備本教材は,訓練生の自己学習の支援・今後社会的な情勢等を踏まえて考えられるオンラインでの訓練も想定して,Tinkercadのシミュレーション機能を用いることによるオンライン対応教材も合わせて開発した。Tinkercadは回路のシミュレーション機能に加えて,Arduino UNOのプログラミングおよびシミュレーション機能も併せ持つ強力なオンラインツールである。利用者は専用のアカウントを作成する必要があるものの,基本的に無償で利用ができる。今回は,Tinkercadを用いて実習で使用する回路とほぼ同様の回路(図5)を作成し,1つのURLで教材を配布することを可能にした。訓練生側としては,TinkercadのアカウントとインターネットにつながるPCさえあれば,実際の実習に近しい学習環境を自宅でもオンライン上に用意することが可能である。

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